アルゴ

Historical

「アルゴ」と聞くと、「アルゴ探検隊」を思い出してしまうのだが、この映画はイランの政権がパフラヴィー国王からホメイニー師に変わった1979年の終盤に、反米デモ隊がテヘランのアメリカ大使館を占拠して外交官を人質に取った実際の事件を題材としている。

「アルゴ」というのはこの救出作戦の苦肉の策で、映画体のロケ隊と称するためにプロットのみ作りこんだ架空の映画のタイトルらしい。

しかし完全に実話の再現というわけではなく、見ても感じると思うが各所で脚色して盛り上げている感じは否めない。

とはいえジョージ・クルーニーも制作に参加してるが、完全にエンターテイメントに寄りすぎて、派手なアクションやミッションインポッシブル風作戦のように軽々しくはなっていないところには好感がもてる。

つまり結構地味ではある。

しかし、現実には独裁政権による不満が爆発した民衆の感情の矛先が、当時のイラン皇帝の後ろ盾となっていて、亡命後もかくまったアメリカという国に向かった結果がアメリカ大使館占拠ということに繋がるのだから、国の情勢を考えるとあまりエンターテイメント化するのはやはりはばかられる気がする。

ほんとにざっくり言うと、欧米化をすすめようとする皇帝側と、イスラム主義者側の対立という民族運動的、宗教色の濃い問題になるので、よそものが利害関係で介入してると感じるのは心情的に許せない思いもあっただろう。

そもそも革命が起きるというのは政治的、経済的に不安定で、民衆が日々の生活に希望が持てなり、大きな変化を求めてる状態だろう。
どこか荒んだ心理状態に陥ってる為過激に走りやすい傾向もあるだろう。

もちろんそれが通常の仕事をしていて、たまたまそこに派遣されていた人を襲って良いということにはならないけど、てっとり早く取引材料として目をつけられる可能性はあるんだろうな。

この6名だけでも恐怖から救い出せたこと、その思いもよらぬ作戦はすごいと思うが、その他多くの人質が444日もの間現地で拘束されていたことも忘れてはならない。

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