ZOO

ピーター・グリーナウェイの代表的な初期の作品ということで前から気になって購入したのだが、映像的にかなりエグいというので家族が居るところではなかなか見られなかった(笑)

しかも無修正のヌードもガンガン出てくるよ(男性が主にぶらりんと)。
と言っても別に猥褻を売りにしているわけではない。多少性的表現もあるけどなんというか普通に自然に脱いでるというか。。
正直見終わってからもどう感想を表現したら良いか悩む作品でした。

序盤の印象は、彼の作品にしてはなんだか音楽が荒いなーと。
さらに主人公の妻たちが事故にあう場面設定があまりにもコミカルで、これは喜劇なのか?と思ってしまった。

グリーナウェイの作品の中では比較的時間軸とセリフのしっかりした流れの把握しやすい内容だが、やはりちょいちょいと抽象的でシュールな映像を挟み込んでくる。
「ZOO」という名前の通り動物園が舞台となってるが、問題は「生きている」動物たちのかわいらしい映像ではなくさまざまな動物の死体を扱ってるのだ。

A ZED & TWO NOUGHTS – Teaser

主人公の兄弟から始まり、病室、部屋、レストラン、複数の双子、散歩する兄弟、両足のない男などあらゆる所で画面を真ん中で区切ると対称的な場面が続出する。
レコードの中心で回るカタツムリなども殻の渦巻きと対称のようだ。
白と黒、ゼブラのイメージも繰り返し出てくるがこれも相反する明暗と反対のリズムを表したものか。

妻の死からその死の意味を探るように、生命の誕生から進化を追うフィルムを流し続けると共に、死から腐敗していく様子をひたすらカメラにおさめて観察記録をとり、エスカレートしていく。
その様はまさに仏教の「九相図」を、絵画でなく映像記録でしめしたものである。
場面だけではない。命の誕生と消滅。そこにも対称が見られる。

1匹だと孤独な魚。
伴侶を失った孤独な男も同じ。
事故で失った片方だけの足も孤独の象徴。

1人の女を共有することもシントメリーの表れか。
両足切断すればバランスが取れて対称となり安定が生まれるのか。
両足のない者同士が結ばれると、失った足は4本になり4足歩行の動物に近づくのか。
両性具有のカタツムリは完全なるものを象徴するのか。
混乱する謎だらけのなぞなぞのよう。

白鳥の衝突から「レダ」という言葉と結びつくが、ギリシア神話を知ってる人ならすぐ思い浮かんだはずだ。
なんか勘違いしそうだが白鳥=レダではない。
人間の娘レダ(人妻)によからぬ思いを抱いた色好みのゼウスが、白鳥の姿に化けて油断させて忍び込んで思いをとげるというとんでもない神話なのだがw
だからこの場合白鳥は誘惑者を表し、レダは誘惑に乗ったものということになるよな?
レダはこの不義の結果、双子の兄弟カストールとポリュデウケースを産むのでそれもこの兄弟とダブルイメージなのだろう。

他にもなんかちょこちょこ気になるものがぶっこまれていた気がする。
『O嬢の物語』などもさらっと入っててつい反応してしまった。澁澤 龍彦翻訳のを読んだけど、映画化もされてたのね。

肉体を失っていく彼女に、執拗なまでにフェルメールの絵画の中の人物を重ね合わせようとする変質的な志向の医者。
このくだりがいまいち私には何を暗示しているのか理解できなかった。
展覧会もいくつか見に行ったこともあり、カラヴァッジョなどの流れを汲む強い陰影のバロック絵画だなあという印象はあるのだがどう結びついているのか。主に人物画ばかりちりばめられてたところにもヒントはあるのかな。

最初はリンゴから、エビ、小型の動物、白鳥、ワニ、シマウマ、ゴリラ(中断か?)と実験対象は大型になるしより進化して人間に近づいていく。
しかも、自然死にとどまらず、エスカレートしていった結果、とうとう死体を作り出すまでに、、ああこりゃ動物保護団体から責められそうだ|ω`)

確かに肉体が微生物の侵食によってだんだん崩れてゆき、ある段階でガスが破裂して液状化したものが溢れ、蛆がわいて目玉がえぐられ、、といった映像はグロいのかもしれない。
が、ベイビー・オブ・マコンとかに比べたら、それほど嫌悪感や衝撃は感じられなかった。
妻を奪った原因の白鳥と、繰り返し強調されるゼブラが一番ハイライトかと思ったのだがそうとも言えなかったのはなんでだろ。

αからωまでギリシャ文字の名前を産んだ子供につけたがる女。
AからZまでアルファベットを動物に当てはめる少女。
どちらも始まりから終わりへ向かう、生命の誕生から死して無に還るまでとのダブルイメージ。

腐敗の映像と躍動する微生物と言葉遊びと進行していく時間がなんとも言えないリズムで割り込むように繰り返される。

そして、最初はそれほど似てるように見えなかった兄弟が、時間の経過とともにどんどん似てくる!?
そして元は結合双生児として生まれたのが、うまく切り離されて双子であることも隠していたという事実が判明するが、いつしかまた結合して二人でひとつになりたいという欲望が抑えきれなくなってくる。

この段階でもう妻たちなんてどうでも良いんじゃないかという気もしてくるのだが(--;)
でも、この特注で娼婦に縫ってもらった結合体用ジャケット?を着て野外劇場で映像をみる二人の情景が全然嫌な感じがしない。むしろどこか美しくさえ見えるのはなんだろね。

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