第二次世界大戦末期に、日本軍人でありながら、何故かソ連、ドイツそれぞれの国軍としても戦場に居たという、奇妙な運命に翻弄された人物。。。というのはどういうことだろう??と興味を持ち、
「マイウェイ 12000キロの真実」を見てきました。
完全なノンフィクションではないけれど、混乱を極めた戦乱中の人々の感情の動きには迫力がある。
京城は、1910年に李氏朝鮮であった首都漢城(現在は韓国のソウル)において、韓国統監府承認のもとに、李完用首相が調印し「韓国併合ニ関スル条約」を結んで日本の統治下になったとされている。
最後の朝鮮王の委任状も残っているので形の上では合意の上ということになろうが、当然反対派も存在していたろうし、国民感情はまた別のものもあるだろう。
ただ、満州事変をきっかけに軍事占領した、中国北部の満洲国の建国とはいささか毛色が違うようだ。
どのみち戦争と他国による圧政はいい感情は残さないものだろう。
主演は、裕福なおぼっちゃまで京城に移住してきた日本人、オダギリジョーと、日本統治下の京城に住み日本軍に翻弄される現地人のチャン・ドンゴン。
真逆の立場で出会った二人は、さまざまな事件を経て、憎み合いながら生きていく。。。
日本軍のオダギリジョーさんと山本太郎さんが、これまたものすごく憎々しい(^^;)
現在自分の周囲にこんなやつらがいたら、もう嫌悪してやまないだろう。
権力を持ったものの残忍さと酷薄さと優越感をあますことなく表現している。
とはいえ、別に日本批判をしようとしてるのではないと思う。
戦争は狂気。
死と隣り合わせの極限の状況の中で、ぶつけどころがない不安や怒りや恐怖を抱え込み、ささいなことでも過敏に反応して、溢れ出した感情は堰き止めることができず、狂気の沼にはまっていく。
脆く儚いものでも、何かに信念を託し、縋っていなければ、自分さえも見失ってしまう。
教えられる歴史というものは、受けた被害は大きく取り上げられるものの、名誉的に好ましくない、与えた被害については、あまり詳しく知らされない。
南京大虐殺などについても、教科書には1-2行だったのではないか?
もちろん日本に限ったことではないだろうが、歴史的文書に公開されていないところでも、一般市民に対する暴行・掠奪・破壊行為なども多数あったろう。
この映画では、こうした精神的な崩壊や、愛するものを奪われた悲しみや憎しみ、生きて祖国に帰りたいという想い、命を投げ出すことを強制された人々の理不尽な想いなどが交錯している。
立場が逆転した時に見えてくるもの、階級や優位性や人種など全てを剥ぎとった時に見えてくる命というもの。生きていればこそ微かでも掴みうる夢や希望。
地味だけれども、いろいろ感じることができるいい映画だと思います。