神々のたそがれ

神々の黄昏という言葉を聞いて即浮かぶのは、「ニーベルングの指環」「ワーグナーの代表的歌劇」というあくまで北欧神話ベース。
だから最初はまさにそっちの映画だと思ってたんですが、とんでもあさって方面に向かってましたな。
マニアッックなとこで話題になっているようで前から気になっていたのですが、とうとうBlu-ray版をゲットしました。

全体的な雰囲気は中世っぽいが、別の惑星というSFのような設定。
だが一般的なSF感はゼロ。
賢者が虐げられ、知識は踏みにじられ、文学は焚書というむしろ時代に逆行している。

灰色に塗りつぶされた画面、ニヤニヤしながらカメラを見つめる人々。
ずっと聞いてると頭がおかしくなりそうな少女の単調なあーあーあーの旋律
意味がわからない会話
ドロドロの街と、乱雑な部屋とゴミ

。。。何となく、あぁこういう映画ねと納得する。全編モノクロです。

確かにこういうどこか狂ったような世界観は苦手な人はものすごく見ていて気分悪くなると思う。
アンドレイ・タルコフスキー、デビッド・リンチ、ピーター・グリーナウェイ、ピエル・パオロ・パゾリーニなど行ける人向けですな。
まるでカメラの前で、それぞれが勝手にアドリブを演じてるようなカオスな映像。

しかしやたら無意味にカメラ目線が多いのと、目線が近いと言うだけでもなんだか独特の圧迫感がある。
臨場感というのか登場人物のひとりとなって観察してる気分だ。

人だけでなく色んなものがカメラにめちゃくちゃ近い。
別なものを映してる前を横切るようにどアップに微妙に動くのでなんか邪魔で気になる(笑)

とにかくいろんなものが吊るされている。
音階のないラッパのような吹奏楽器が多い。
あーとかおーとか歌詞もリズムもない歌?や喚き声がよくでてくる。
そして誰もがやたら滅多ら唾を吐く。

ストーリーや意味を見出そうとするのは難しいが、とにかく何か微妙に不快でイラッとするような情景が延々と続く。
野蛮、卑猥、残虐、不潔、恥辱、無知、我欲、不具、病気、死など人間の持つ愚かさや醜さをこれでもかと極端なぐらいに見せつけられ続ける3時間近く。

タルコフスキーほどアートな美しさで満たされてはいない。
デビッド・リンチのようなスマートさでもない。
グロい表現に糞尿などの汚物まみれもあるのだけど、ほんとに終幕を除けばピーター・グリーナウェイやパゾリーニほど胸糞悪い後味でもない。

映画音楽、BGMと言ったものは存在しない。
色々なものや動きから生じる環境音と雑音、会話にならない言葉や呻きや叫びだけで彩られている。

カオスなんだけどそこはかとない美しさがあり、やるせなさもある。
今どきこういう映画とる人って居なくなったよなぁ。。と思ったら2013年の作品ということでびっくりした。

後にWikipediaで見て、そんな内容だったのか?とはじめて知るぐらいにすんなりとは理解できない映画。

神でいるのは、、、、つらい

設定が異星の話であるのがすっかり消し飛ぶ、人間の本質丸裸にした泥臭い表現と社会批判的な皮肉とも受け取れることが多々あるんだけど、無理に理論的に考えてまとめようとせずに五感で見たまま聞いたまま垂れ流し状態で洪水に身を任せていたら良いんじゃないかと。

そして最後に初めてメロディーのある音楽が流れるのだが、それを聞いた女の子の言葉がまたなんとも言えない( ̄▽ ̄;)

でも、最後まで眠くならずに一気に観きったので、おもしろいと感じたのだろう。
だからといって、誰にでもおすすめできる映画というわけにはいかないだろうなあ。
15年かけて製作されたそうなので、撮影してる間にどんどん役者も年とってたはずだよなあ。。。。。

神々のたそがれ アレクセイ・ゲルマン監督 Blu-ray 特典ディスク(メイキングドキュメンタリー)付属!

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