結構最近の作品らしいがまったく記憶にないのだが、話題にはなった??
あまり日本ではみたことがないスペイン・ブルガリア合作
ネットの総評をみるとなんだか全体的に評価は低い。
が、個人的にはかなりおもしろかったし、結構好きです。
主役がアントニオ・バンデラスで製作にも関わってるので、派手なアクションとか、夢のような派手な未来世界を期待すると多分まったく裏切られる。ぶっちゃけ内容的には地味。
2044年という近未来、地球は大気汚染されて砂漠化がすすみ、少しでも影響を食い止めるための工事用に大量のロボットが作られた。
やがてロボットたちはさらに生活に密着した作業ができるように改良が加えられて安心で頼れる存在となっていった。
そして現在、ロボットには「プロトコル」と呼ばれる制御がプログラムされてる。
1:生命体への危害の禁止
2:自他のロボットの改造禁止
それが非常に難解な仕組みになっていて、現在それを改竄できる人間は思い当たらないというのだが自分を修理してるロボットが発見された!!
。。。とくるとだいたいそこからロボットの反乱が起きて主従逆転していくのだが、そうならないことにより人間の持つロボット以上の冷酷さを浮き上がらせている。
だってロボットは基本的に自分たちの壊れた部分を、他のスクラップ化した仲間のパーツからもらって自分で直してるだけなんだよね。
もうひとつは言ってはならぬことを問い詰められたら自殺するロボット。
それも周囲の人を巻き込むような自爆じゃなく、とても静かな自分だけを壊して機能停止。
人間は自分たちに都合のよいようにロボットを作り、利用し、壊す。
なのにロボットたちは関係ない人間の命を救うためにできる限りの手助けをし、ひたすら命を奪う行為を制止しながら無抵抗でどんどん破壊されていく。
「人間は同じ種族同士で殺しあうんですね」(←正確じゃないかもしれんがこういう内容)
にはズキっと来るところがある。
それまでの場面でロボットたちは人間に危害を加えようとしていなかったし、ロボット同士でも互いを傷つけたりしてないのだから。
元は小さな誤解かがきっかけだったとしても、利己的な考えと自分の意に染まないものを排除しようとする人間のどろどろした殺し合いがあるだけだ。
しかも、地球がこうなったのもそもそも人間が核を使ったからで、結局その結果人間が生活できない環境に追い込まれてしまう。
そんな悪環境の中で生き続けられる(?)のはもはやロボットしかいないだろうから、結果として人類は滅び、もはや人間の手助けを必要としなくなったロボットたちにとって代わるのも自然な流れだろうと彼らは淡々と受け入れているだけなのだ。
娼婦として人間のあらゆる欲望にこたえるために作られたロボットが、無表情ながら整った顔をしており、人間の持つ感情面を理解しきれないながらも仲間とともに子供のような存在を新たに作り出す様子は何やら物悲しい。
なのだが。。。。。
不可解な部分も随所にあることも見逃せない。
そもそも最初のきっかけとなった、「愛犬をブラッシングするよう命令しただけなのに、死んでる」のはなんだったんだろうと(--;)
その後の展開を見ても「1:生命体への危害の禁止」に対してのプロトコルは解除してないようだったのだが。
事故だったのか、ロボットと関係ない偶発なのか、悪意を持つ存在が生まれてしまったのか。。。謎
博士のラボを突然襲撃して殺した相手はなんだったのか?スラム街の子供のようにもみえたが改造する誰かの存在を隠すためでないなら動機がわからない。
ロボットたち自身が街へ帰れないわけはわかるが、主人公を砂漠の果てまで引きずっていく意味がわからない。
人間の生命維持にあれだけこだわるロボットならば、放射能が色濃く漂う高濃度汚染地帯を防御服もマスクもなしに、けがの手当てもできない、食事も水も不足しながら長時間連れ歩く危険性は考えないのか?
その先に何か見せたいものや合わせたい人がいたならともかく、着いたら放置じゃないかww
直属の上司も部下も会社も両方信頼していないようだったが、結局何をどうするつもりだったのか。
美しい砂浜と海の回想シーンがなんどか出てくるが、どうみてもウミガメではなく淡水性のカメ。
などなど納得いかない面もいろいろあれど、全体的な流れやなんでも支配できると思っている人間の驕りに対しての警鐘、雰囲気はとても良い作品でした。