ラストエンペラー

清朝最後の皇帝、愛新覚羅 溥儀の生涯を描いた大作。前編英語なのでちょっと違和感はあるが、昔からかなり好きな映画です。

このサントラも大好きで、当時繰り返し聞いてました。その度に美しく壮大な映像の場面が蘇る、まさに映像と音楽が見事にシンクロした作品。
坂本龍一の他、デヴィッド・バーン、 蘇聡とが音楽を担当している。

ストーリーは幼少時代、紫禁城に連れてこられてからの過去の人生と、第二次世界大戦後の中華人民共和国で、戦犯収容所に連れていかれてからの様子とが交互に現れ、回想のような形式になっている。

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まだ乳離れもしていない幼子といって良い頃に、母親から引き離され、紫禁城に連れてこられた溥儀。
おどろおどろしい西太后の遺言で、まだ何もわからぬ歳なのに次期皇帝に立てられる。

この幼少期のやんちゃさと振り回される側近の様子もどこかコミカルで良い。大奥のような後宮の女性陣の陰険さもなんとも言えない。
本来なら小学生くらいの年で物心がついて、家に帰りたい、母に甘えたいということも許されぬ孤独。知らぬうちに弟が出来ていたことも、子供にとってはショックもあったろう。

そして自分の知らぬうちに中国は共和制に変わり、紫禁城外では皇帝は形骸と成り果てたことに気づいてしまう。立派な城での監禁に等しい外界と接触を立たれた生活。

そして青年期。イギリス人のジョンストンが家庭教師として招かれる。後に『紫禁城の黄昏』という著書を出版し、当時の中国情勢や紫禁城の暮らしなどを客観的に知る貴重な資料となった。
しかしこれが戦犯収容所内での溥儀に対してかなり足かせとなるのだが。。。

自分の目と耳を塞がれたような生活と知識欲の狭間で、煩悶し、鬱屈とした感情に揺れる思春期。不安定に内紛が続く国内情勢から目を背け、無関係のように流れる紫禁城内の時間はどこか歪だ。
親しく心を許せるもの達は次々に遠ざけられ、例え実の母が死んでも死に顔を見ることさえ許されぬ不自由。大事に保護されているように見えて翼をもがれた籠の鳥。

そして成人したジョンローン(これがまたカッコいいんだな)。
とうとう目覚め、自らの意思を持ち自分を取り巻く世界を変えようと動き始める!ここからが破滅へのプレリュードとなるのだな。

公開当時は気づかなかったが、ジョンストン先生の顔に見覚えがあると思ったら、アラビアのロレンスのピーター・オトゥールではありませんか!渋い!!

ずっと夢見ていた紫禁城からの出奔。しかしそれは自主的なものではなく、突然襲いかかる略奪のような形で具現したのである。

隔絶された空間では上手く仲良くやっていた妻二人と溥儀の3人であったが、外の世界を知ったのは溥儀だけではなかった。
側室という立場に徐々に違和感を持ち飛び出す文繍。孤独からどんどん阿片に溺れていき、涙を流しながら花を貪り食う様は強く印象に残る。

そして満州国の設立。体良く神輿に担ぎあげて利用しようという日本と、それを逆手に理想の自国設立を夢見た溥儀。結果はやはり世間知らずの理想化には歯が立たなかった現実。
この辺りからは日本の歴史でもあるのだが、暗部でもあるのでなかなか取り上げられることも少ないので興味深い。

そして大杉事件で悪名高い甘粕正彦役を教授が演じています。(この事件を描いた丸尾末広さんのイラストと文章が強烈です)
満州にわたってからなので、謀略家の面と、映画や芸術推進、最後の自決の場面などですが。

あまりにも大きな歴史の波に翻弄され続けた人生の変遷。
共感するにはあまりにも縁遠い環境ですが、なんとか人間って生きていかれるものだなあと。
今見てもやはり壮大なスケールの素晴らしい映画だと思います。

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