小松左京さんのSF小説を原作とした、深作欣二監督の製作費数十億と言われる超大作映画。
コロナの今こそ臨場感が半端ないパンデミックの映画です!!
イギリス原子力潜水艦のネーレイド号は日本近海を進んでいた。
そこには日本人の地震予知学者ヨシズミ〔草刈正雄さん〕も乗り合わせていた。
しかし、見納めだぞと見せられた陸上の画像には、生活感そのままに朽ち果て死に絶えたまま放置されている街と人々が映っていた。
どうやら空気中に蔓延したなんらかの悪性ウィルスの影響らしい。
ここで1982年の秋に人類は南極に生き残った一部を残して死滅したということが明らかにされる。。。
時は戻って1982年の2月、細菌研究所から開発中であった危険なウイルス「MM-88」が盗み出された。
取引相手に渡すところを、さらに突入して来た何者かに強奪される。
増殖能力が高く、細菌兵器として全ての脊椎動物を殺すほどとんでもない強力なものらしいが、ヘリで輸送途中にアルプス山中で岩壁に激突し、ウイルスは地表に散乱してしまう。
4月の雪解けの時期、とうとうウイルスが活動を始め、人々の生活圏にも魔の手を伸ばしてくる。
一定の気温を超えて暖かくなると爆殖するという特質をもっているため、一度広がり始めると感染速度は止まらない。
最初は風邪の症状に近く、肺炎を引き起こし、、、ってこれまさにコロナやん!∑(゚Д゚)
発症地からイタリア風邪と呼ばれたそれは、徐々に世界中に広まって、ワクチンが間に合わず死者を出しながら猛威を奮っていく。
あっという間に世界中に広まっていく感染力の高さから各国はパニックに陥っていく。
7月には日本でも戒厳令が敷かれ、夜の遊び場ではクラスターが起こり、神頼みの宗教も流行する。
病院には長蛇の人々が押し寄せ、医療従事者は病院泊まり込みでまともに休めず、疲労の限界。
今の時期見るとSFの架空世界の出来事とは思えんヽ(´Д`;)ノアゥ…
この月ごとの変化が迫りくる速度を表していて怖いんだよね。。
しかし、もはや滅び去ろうとする世界の中であくまでも軍事に固執し、敵対するものさえないのに、核ミサイルを押さずにおれない将軍の狂気が不気味すぎる。一体誰から、何から、何を守ろうというのか?
親しいものたちが次々と動かなくなっていくのを見ていることしか出来ないやるせなさと、自分の番が回ってくるのを静かに待つしかない不安と絶望。
医療も国家も機能せず、もはや手の尽くしようもなくなり周囲にはどんどん死の匂いが充満していく。
一方、南極の基地に詰めていたために助かった各国の観測隊少数は、途絶えてく祖国との通信の中で帰る祖国も家族も失ったことを知り、なんのためにここに居るのか、自分だけ生きてることになんの意味があるのか、また違う絶望に捕われ狂気に走り始める。
こんな極限状態になっても、数人ずつしかいない国同士で争う人間の愚かさも描かれる。
一応日本映画と言って良いのだろうが、大部分の会話が英語で字幕。
何故ならばワールドワイドな話で、それぞれ違う国の人々が新たなひとつの国となる話だから。(めちゃ壮大!)登場人物も日本人以外が多いしな。
登場人物は多いが、主役は草刈正雄さん演じる地震学者。
南極日本隊の同僚には渡瀬恒彦さんや夏木勲さん、千葉真一さんに森田健作さんや永島敏行さんなど。
隊員の恋人や妻役には多岐川裕美さんに丘みつ子さん。他にも緒形拳さんや小林稔侍さんなど日本俳優だけでも錚々たる顔ぶれです。もちろんめっちゃ若いです。
また、妙にアメリカ推しで、主役についでアメリカの大統領やら上院議員やら少佐やらが1番美味しいところを持ってってるのはちょいと気になるんだけど。時代かな。
ま、逆に1番タチが悪いのもアメリカにいる訳ですが( ̄▽ ̄;)
確かに映像や音楽や、特に始まりのテロップなどは古臭さを感じるのだが、中身は予想をはるかに上回って面白かった!
話の流れがしっかりとしており、関わる人々の心情がきっちりと描かれ、生々しいリアルさがある。
非常事態だからみんな手を取り合って仲良く、、と単純にもいかず、それぞれ国の矜恃を背負っていがみ合ったり、亡くなってからも国の意識が抜けなかったり、女性が極端に少ないことの弊害や、人権を尊重することすら困難な厳しさや、決死の覚悟で臨んでも報われないことや、、、
「世界は二度死んだ」
なかなか強烈なフレーズです。
ラストの精神的にも肉体的にもボロボロになりながら仲間の元へたどり着く姿はなんともグッときます。
どれだけの犠牲を払って、どれだけの思いで。。。。
いやぁ日本でもこんなとてつもないスケールの映画を作っていた時代があるんですねえ。
なんせ合成じゃないんですよっ!
実際に南極ロケや、北米~マチュピチュ含む南米まで現地ロケをし、現物の潜水艦や哨戒艦をチャーターしたというのだから半端ない。Σ(꒪⌓꒪ノ)ノ
昔日本のSF小説にハマっていた時期があり、星新一さん・筒井康隆さん・小松左京さんと読み漁っていたが、前のふたりが割と軽いタッチでややブラックジョーク的な色合いがあったのに対して小松左京さんは┗(-_-;)┛オ・・オモイ…