元は2008年制作の(日本公開2010年)「ぼくのエリ 200歳の少女」というスウェーデン映画のリメイクらしい。
どちらも現代に「モールス」という言葉は入っていないが、原作である小説が『MORSE』となっている。
映像的にそれほど強調されてはいないが、通信手段としてのモールス信号である。
病院に緊急搬送された男は全身に強酸を浴びたように爛れていた。
一命をとりとめたものの、事情聴取をしにきた刑事が数分席を外した隙に飛び降り自殺をしてしまう。謎のメモをのこして、、、
と、いうところからはじまる。
場面変わって雪深いローカルタウン。
色白病弱で女の子みたいなのをコンプレックスにしている、いじめられっ子の気弱な男の子。
母子家庭らしい貧しそうな団地でのささやかな楽しみは、望遠鏡でこっそり近所の家を盗み見ること。
友達もいないらしく、いつも一人で公園で過ごしたり、、、とかなりの根暗っぷりを表してますな(ーー;)
この主演の男の子(コディ・スミット=マクフィー)が美男でも愛くるしいというのでもないが、聡明そうな顔つきながらも病的なサイコバスっぽさも醸し出していてなかなか良い。
ある日、同じ年頃の不思議な雰囲気を持つ少女が隣に越してきた。
初対面で「友達にはなれない」と冷たく言い離されたが、孤独な2人は徐々に惹かれあって行動を共にする時間が増えていく。
父親と二人暮しらしいが、学校にも通わず、誕生日を祝ってもらったこともないという彼女の秘密が、この街でおこる連続殺人と結びついていく。
純粋でひたむきなために少年が開いてしまったパンドラの箱とは?!
内容的にはスリラー系なのだろうが、恵まれているとは言えない環境の中で、ひたむきに生きようとする少年と少女の姿がいじらしく物悲しい。
起こる事件は凄惨なものばかりなんだけど、あまり強い悪意を感じられないというか必死さと苦しさの方が強い。
なんというか、この種のストーリーとしてはかなり異色だと思う。
完全な悪として拒絶される存在でもなく、かといって肯定してるわけではなく、ヒーロー的なものでもなく、ただ生きるためにどうしようもない性をもてあましているような葛藤が見え隠れする。
だから独特のおもしろさがある。
なんだろね、あまり状況説明的な描写はされていないんだけど、何が起こったか、どういうことなのか推測できちゃう絶妙な無駄のなさ。
かなりばっさりと省いちゃってるところが多い気がするんだけど、想像力で補える俳句のような簡潔さが潔い。
アビー役のクロエ・グレース・モレッツちゃんも感情をあまり露わにはしないんだけど、そこがまた切ない。
最後に少年と少女が選んだ道は決して平穏ではないだろうが、そういうことなんだろうなと。
意外といろいろと考えさせられるところのある映画だと思う。