貧しそうな砂漠の牧畜の家族。
家畜を守るための銃で競い合うぐらいしか楽しみもない。
ふとしたことから遊び半分で走る車に向けて放った銃弾は、、、
平凡な、親が忙しく子守を頼んでいる家族と乳母。
息子の結婚式の日には代わりを頼む約束が、雇い主の都合で休ませてもらえず切羽詰まってメキシコへと連れていくことに、、、
曰く有り気な男女が砂漠の道を団体に紛れていく。
愛し合っているのにすれ違っているようだ。
ようやく素直な気持ちが顔を出したところへ窓から銃弾が、、、
繋がった!?
と、思ったところで場面は日本へ。
年頃の聾者らしいバレーボール選手の娘とうまくつきあえない父親。
普通な明るい女子高生のように振る舞いながらも異質な目で見られることに敏感で、その反動が大きく自分たちを壊してしまいそうな脆さを抱えた大人との狭間の少女達、、、
一見かなりかけ離れたピースがどこで交わるのか、伏線を探してしまうのだが。
イニャリトゥ監督の作品は、風景の描写力も美しく、カメラワークもそれぞれの人間目線で臨場感が半端なくない凄いのだが、何気ない人々の様子がこれまた自然で生活感に溢れている。
見ている方が、まるでその場で見ているような気分にさせられる。
そしてストーリーがどう繋がるかよりも、途中からそれぞれの生きざま、孤独と葛藤、個々に潜む深い闇が強く訴えかけてくる。
他人事として見れば、なんと馬鹿なことをしでかしてるのだろう、そんなくだらない事で大事なものを失ってゆくのはなんで?という面もあるかもしれない。
だけど人間は理屈だけでは生きていない。
思うように行かない、良かれと思ってしてることが誰かを傷つける結果を招いてしまう。
どうにも行き場のない感情、救われない無常。
しかし、凛子さんの目ヂカラがこれまた半端なーいヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
友達や同年代の男の子達とはしゃいで見ても、結局は埋めることの出来ない心の穴。
自分でもどうしたらいいのか答えを見つけ出せず必死すぎるほどがむしゃらに何かを掴もうと求め続ける姿が心に刺さる。
最終的にはこの東京の親子が一番謎が多く、モロッコとアメリカ(とメキシコ)の方はスッキリしないまでもほぼ関連性が見えて完結するのだが、日本の事件はさらなるカオスを招いたまま、深い傷跡を見せた状態で幕を閉じる。
と、いうか日本のピースだけどこか異質でストーリーには直接密接な関連性もなく独立した存在に感じる。
まあストーリーという点では、途中でだいたい関連性が見えてはくるんだけど。。。
全体を見終わった印象は、ブラピより凛子さんの存在感が大きかった。
あとあまりにも不条理な結末へ走る赤いドレスのおばちゃんの心の叫びもね。
ラストシーンで、あれ?この映画音楽って坂本龍一だったの?途中は渋いけどそんな印象はなかったんだけど、、、
と、おもったら、全体監修じゃ無かったがあの曲はやはりそうだったのね。
イニャリトゥ監督の作品は近年ではかなり気になる存在。
だが、バードマンは個人的にはいまいちだったんだけどレヴェナントは良かった。