フランスの片田舎の小さな村。
些細なことでもしょっちゅう教会で告解するのが好きな少女ジャンヌは、自然の多いこの村で、家族も友人も全てが素晴らしいと思える幸せに満ち溢れて伸び伸びとした子だった。
しかし百年戦争でフランスとイギリスの関係が悪化する中、村はイギリスの荒くれ者共の襲撃を受け、家族を失い、ジャンヌを守った姉は目の前で殺され凌辱される。
その日から生き生きとしたジャンヌは死に、暗く笑わない子供になった。
絶望からより狂信的になったジャンヌは、神のお告げを受けたとして落ちぶれたフランス宮廷に乗り込む。
あ、これミラ・ジョボヴィッチ主演なのか。子供時代からだからわからなかった(・∀・)
他にも結構豪華キャストではないかい。
そして、さすがリュック・ベッソン監督、見せ方がうまい!!
中世の近代的ではない戦闘や、服装、宮廷風景なども興味深い
短気でヒステリックで、無謀で計画性のない激しすぎるジャンヌが新鮮(笑)
戦の経験もなく、軍略も知らず、武器を取ったこともなく、馬にも乗ったことがない田舎の名もない小娘。
いくら神がかりといえど、そりゃァ生粋の軍人が素直に従えるはずはないよなぁ。
都合の良い時には持ち上げて利用して担ぎあげ、自分の利益と反するようになれば用済みとばかりに厄介払いする人間のエゴ。権力の乱用。
思い込みと、偶然と奇跡の違いとは何か?
自分だけにわかる神からのメッセージとは、自分の都合の良い解釈と違うとどこで言いきれるのか?
宗教裁判というものの滑稽さ。
教会の権威と神への信心は全く別物らしい。
この映画は捕虜になってからがかなり長い。
それは自分の心との葛藤。良心と信仰の狭間で揺れ動き、問いかけ、ひたすら自分の本心と向き合う恐怖などを繊細に描き出そうとしているから。
神の使者、勇ましい英雄としてのジャンヌ・ダルクではなく、一人のトラウマを抱えた少女という脆い心を持った人間として描き出している。
自分は神の使いであり、神の御言葉に忠実に従っているという思いにだけ縋る危うさ。
神が自分を見捨てたのか、自分が神を見放したのか、、、
最後にどうして司教は告解をさせてはくれなかったのか?
宗教の謎と闇。
汝の敵を愛せよと教えつつも、神の名において人を殺す。
そして残虐に殺しておいて、後に殉教者として聖人に名を連ねる。
すべては人間の都合にしか見えないんだよね。。。