原作の漫画が結構おもしろかったのと、内容的に確かに実写およびCGで比較的違和感なく表現できそうだということ、さらに配役がなかなかおもしろそうだったので見てみようという気になった。
実際前半部分は予想通りに物語の世界観を再現した感じでなかなか良かった。
妻夫木さんは漫画のイメージよりかっこいいし高校生?なとこはあるけど、やや精神的に弱そうな役柄は結構はまってる。
ノブオもかなりサイコな役柄だし、いじめられっこ役に男っぽさ満点の山田さんでどうかな?と思ったが見事にはまってました。
荒廃した街並みや、灰の降り注ぐ台地などビジュアル的には文句なしなのだが。。。
やはり時間的にコンパクトにまとめるには無理があったというのが正直な感想。
一見淡々とした放浪の最中に起こる出来事、感じる気持ち、出会いと別れ、それぞれの思惑とすれ違いなどの人間模様を通して、生き残った少年少女が最初は他人任せで頼りっきりな軟弱な印象から、少しずつ成長していく様子は、やはり過程をみせないとわからない。
ひとつひとつの出来事が、出会いから会話などを通して絶望的な状況の中でどんな方向へ向かうか人それぞれという重みがあるのに、なんというか各出来事と関わり合いをすごいはしょってコマつなぎにしてしまった感じで、それぞれのバックグラウンドが全然見えず、なぜそういう行動に走ったか原作を知らない人にはよくわからないと思う。
藤木さんが登場した時もこんなかっこいい人でてきたっけ?と何の役だかもピンとこなかった(--;)
狂気に走ったかに見えたノブオの存在がどうしてあそこまで心に引っ掛かるのかも、そこまでの流れがあってこそじんわりとくるもの。ノブオの到達した世界はもしかしたら過酷な今の現実よりも平和なのかもしれない。。。
そして主人公に匹敵して大きなメッセージ性のある「竜頭」の存在がほとんど意味をなしてない。。。。
人間の持つ根源的な恐怖心というもの。痛みというもの。
苦痛を感じる心がなくなれば幸せといえるのか?人間らしさとは何か。
あの食べ物はなんだったのか。。。。。
映像的なインパクトでは確かに子供たちのほうがインパクトが強いのかもしれない。
けれどさまざまな社会的要因から不安や恐怖をより身近に抱えて生きている大人のほうが実は解放されたいという欲求にふさわしい気がするのだが。
映像技術や配役はよかったが、内容的に訴えるものが少なく中途半端な恋愛ものチックになってしまったのが残念。