同じく飛行機の中で時間があったので続けてみました。「さまよう刃」
これは劇場公開中に見ようと思っていたのに見逃してしまっただけに嬉しいですな。
もともと東野圭吾さんの小説で、本はかなり前に読んでいたのだけど、主演が寺尾聰さんということで気になっていたのです。
最近の人は彼が有名な歌手であったことも知らず、俳優という印象が強いんだろうな(--;)
東野さんの小説らしく、重苦しく救われない話です(笑)
ばばっとあらすじを言うと、父子家庭で育ててきた大事な一人娘を、野蛮な若者に、遊び半分で陵辱された挙句殺された父親が復讐を誓うというもの。
まあ東野さんの話って、だいたいあらすじそのものよりも、その間に潜む人間の心情の動きを重視してますからね。
人生において一番大切なものを、他人によって無慈悲に奪われたとき、人間はどうなってしまうのか。
夢も希望も未来も見えない。かろうじて憎しみと執念のみが生命をぎりぎり支えているような極限状態に追い込まれたとき、それは人間の形をした別のもののように変わってしまう。
その抜け殻のような役目を寺尾さんが期待通り見事に演じています。渋いっ!
たびたび話題にはなっていますが、「少年法」というものに疑問を投げかける問題作。
法律とは、誰のためにあるのか?何をもって市民を守るといえるのか?
追うものと追われるものが交差する中で、常に「追う」側の立場にある警察。
仕事と正義というものに対する疑問の狭間で揺れ動くひとりの警官の役目を、竹野内豊さんが好青年ぶりを出して演じています。
それを見守るようにサポートするのは、ともに捜査に携わるベテラン刑事役の伊東四朗さん。
許されぬことだとわかっていながら、それによって救われることもないとわかっていながら、それでも行動を起こさずにいられない、感情を持つ人間の悲しさ。
最後の手紙の場面には、きっとぐっときますよ。