昨日は新春映画の入れ替わりがあった後のレディース割引Day。せっかくだから何か見てこようとふらりと映画館へ行った。
K-20や禅 ZENもちょっと惹かれたんだけど、どうせ大画面なら迫力ありそうなものがいいというまた単純な動機で
「チェ 28歳の革命」を選択。
とはいえ私は政治、経済、海外情勢などにめちゃくちゃ疎い。なので実は「チェ・ゲバラ」という人物も知らなかったんです(--;)。キューバ革命。。。生まれる以前の話ですな。
で、この映画なんですが。。。。
愛と感動のヒューマンドラマが展開されるわけではない。
ドキドキするアクションシーンがあるわけではない。
笑って楽しめるエンターテイメント性があるわけではない。
スリルやサスペンス、隠された謎があるわけではない。
淡々と、、非常に淡々と時系列を追って、どのようなことが起こったかを記している、どちらかというと記録映画にも近いような?
間に革命後のチェ・ゲバラの演説の様子や、社交界でのチェ・ゲバラ、仲間と話すチェ・ゲバラなどが白黒画像ではさみこまれています。
正直、何の知識もない状態だと、一度見ただけでは内容を把握するのがちょいと難しいかも。
間にはさみこまれた未来の画像が、おそらく今とを結ぶなにかを示唆しているような気がするものの、うまくつなぎあわせられない。
言語も英語ではなくスペイン語なので聞き慣れず、早い字幕を追うのに結構必至でした。人名と国の名前が聞き取ってわかる程度かな。
「チェ・ゲバラ」も映画の中では仲間たちに「エルネスト」とファーストネームで呼ばれることが多い。
このチェ・ゲバラ役の俳優さんが、どうも古谷一行さんに似てる気がするのは私だけでしょうか(--;)
昔の本人の写真をみると、もともと結構男前なんですよ。どちらかというとフィデルの弟、ラウル役をやった俳優さんの方が似てる雰囲気。
映画自体は、まだ同志も少ないフィデル・カストロと出会って、キューバへと密航するあたりからはじまります。まったく関係ないアルゼンチン人の医師である彼が、なぜ他国の革命軍に仲間入りをすることになったのか、作中だけではわかりません。
でも、だからといってつまらないということはなかった。
「革命」とは武力行使をともなう限り戦争なんですよね。
武力闘争の是非については敢えて触れませんが、同国の人々がお互いに殺し合うというのはなんだか非常に虚しい。
しかも、わが国民を守るためにという名目でもなく、国の軍隊が非戦闘員である市民を、いとも無造作に無差別に殺戮していく場面には恐怖を感じます。なんでそんなことが起こってしまうのでしょうかねぇ。。。
革命軍は若い人が多い。現地でも多くの人が志願して参加してきます。
もともとそういう訓練を施されて育成された軍隊ではないから規律の乱れもでてくるし、さぼったり、逸脱行為をおかしたり、辛くなって途中で抜けたりする人もでてくる。
遊びではなく命をかけた日々の中で、ルールを守らなければ存在していかれない過酷な面もある。
闘っていない時の素顔は、ごく普通の陽気で楽しみたい若者の素顔をさらけだしていたりして。
一人ひとりがほんと、感情豊かな人間なんですよね。
チェ・ゲバラはもともと医師です。しかも喘息持ちで体力があまりある方でもないようだ。
しかし、いつのまにか医師としてよりも革命の指導者としての頭角を表していくのが人間の不思議なとこで。
すごいなと思うのは、ただのキラーマシーンではなくて、それがもともとの志とはいえども、民の生活水準の向上をきちんと考えていること。
駐屯した場所で教師となる人間を選び出し、いままで機会さえ与えられなかった人々に教育を施し、周辺の村人までみる医院としての役割も果たしている。
負傷した兵も、足手まといだから始末しろなどとは言わず、命ある限り治療に力を注いで助けだそうとする。
こんな過酷な状況のなかで、人間らしい感情を失わないのはやはり凡人にはできないなと。
町にわざわざ戦場を持ち込んで、市民まで巻き添えにしているのに、なぜか熱狂的な歓迎で迎え入れられ、協力を惜しまない一般人がどんどんでてくる。
普通に考えれば違和感があるのに、待ち望まれていたというところに人間の幸福とは何か?と考えさせられます。
大仰に感情的なドラマ風にしていない分、淡々とした中に妙にリアリティが生まれている。
この映画は2部作で、「チェ 39歳 別れの手紙」が今月末より公開予定。
第2部がはじまる前にもうすこし知識を得て、もっと理解できるようにしておきたいと思う。