以前この監督の他の作品でというのを見て結構気に入ったので。
アマゾンの説明には「感動SFラブストーリー」などとあったが、これはまったく「??」
そういうイメージで見ると多分ギャップが激しい。けど何のジャンルに属するかというと非常に難しいな~~。
やはり話の流れは決してわかりやすくはないのだが、カメラワークや構成が何とも魅力的。
そして、邪魔になるほど自己主張が強くはないのにどこか印象的な音楽。
序盤はほぼセリフはなく音楽が流れる中、状況説明的。。。ではない断片的な映像が綴られる。
注意深く見ていても、なかなかどういう方向にストーリーが進んでいるのか把握するのが大変だ。(Inkもそうでしたが)
だから取り敢えずどういう立場の人間が、どういう思いを抱えて生きているのかだけは掴んでおこう。
最初にある犯罪組織に手を貸していると思われる男と、救命救急士の女のちょっとした事件が別の時間軸で流れる。
そこまでは分かりにくくとも何の変哲もないそれぞれの人間ドラマ。
んが、その後、それぞれの家で何気なく眺めているように思われるテレビに写っているものが、工エエェェ(´д`)ェェエエ工
最初は防犯カメラの映像を見てるんだと思った。
が、それにしちゃカメラワークがおかしい。
俯瞰で固定ではなく「誰かの目線」なのだ。
そしてその前後の経緯まで写っていたりして、いったいこりゃなんだ?
たちまちわけのわからない世界に放り込まれてしまう。
理不尽な何が起こっているのかわからない妙な状況の中で、初めてふたりが出会って言葉を交わした場所はなんと、、、!?
結構怖い状況ですよ。そりゃあパニック起こしますよ。監視されてるみたいで気味悪いもん。
なかなか今起きている状況を飲み込むことも受け入れることもままならぬ間にも、秘められた過去や複雑な状況が徐々に姿を現す。
そしてついに直接対面使用とした時に、すれ違いが起こる。
嘘はついてないし、お互い会えると思っていたはずなのに、、、
と、言うところでパラレルワールドを疑い始める。
歪な街。
黒いタールのようなものが覆い尽くす。
道化のような謎の男が謎の行動。
え?予告編や看板まで!?
現実か、妄想か?現在はどこにあるのか?
正直全然知らない配役だが、主人公のアレックス役の男の方が、角度や表情で妻夫木さんにやたら似てる時がある。
そして怒涛のクライマックスへ。
また出てきたな、常識を笑うような不思議な部屋。
何となく予想ができた展開にはなったが、あれはよく見ればタールじゃなくて「ink」じゃなイカっ。
つまりこの作品たちは繋がっているのではないかっ?!
そう意識すればビルの谷間に浮かび上がった、空につながるぐちゃぐちゃの建造物がインクの垂れた後だというのが認識できた。
息詰まるクライマックスを迎えたかと思えばそこでは終わらず、さらに淡々と物語は進む。
暗転に次ぐ暗転、見えない壁と迫るフレーム。なんども落ちるバイオリン。
カオスの渦に巻き込まれたようでいて最後に起こる奇跡。それは深い罪の意識と許しとを伴っていた。。。
めちゃめちゃ独特で不思議で不条理なんだけど、映像も音楽も非常に美しい。
構成もしっかりしていて何か心を打つものがあり、やっぱりこの監督の作品好きだなぁ。