近くに一般的な日本でも人気のヒット映画ではなく、ちょっとマイナーな映画ばかりを上映する映画館がある。
以前からいくつか気になる作品もあったが、この「ミステリーズ 運命のリスボン」は上映時間が約4.5時間という長さに惹かれて絶対みてやろうと。
2時間ぐらいでも最近では結構長く、途中で間延びしてしまうものもある。この長時間、本当にずっと集中できるだけの作品なのか?という興味もあったのだが。。。
始まって10分位で「あ、これは私の好きな映画だ」と、直感した。
派手なアクションがあるわけでもなく、壮大なCGを駆使しているわけでもない。時代がかった衣装もケバケバシさが無く上品である。
でも、カメラワークや構図がなかなかおもしろい。古典的でありながら前衛的なところもあるといった感じで、前半からすっかり引き込まれてしまった。
舞台は19世紀前半、ポルトガルのリスボンとフランスのパリ。
名字の存在しない「ジョアン」と呼ばれる孤独な少年を中心に、さまざまな人物の人生が交錯し、現在と過去が入り交じる。
途中ちょいちょいと「これはナニ?」というような象徴的なシーンが挿入されていたり、幻想的でアートな匂いもする大人向けの作品だ。
愛と欲望とエゴと独占欲とめぐりめぐる数奇な運命の数々。
表向きはゴージャスで華やかに見える貴族の生活の裏に潜む束縛と計算と悲しみ。
他人を侮辱し貶め、心の闇をナイフで切り裂き踏みにじる行為は、一発のパンチよりも果たして軽い罪なのであろうか?
ミステリーズと言っても、推理小説のような内容ではない。ヒューマンドラマに近いかも。
人の心や運命のイタズラこそがミステリーといったところか。。。。
スピード感溢れる、、というわけでもないが、ちゃくちゃくと運命の車輪は回り続けていく展開は、これだけの時間にも関わらず画面に惹き付けてくれる。
全然知らない俳優さんばかりでしたが、とても素晴らしい映画でした。
ただ、館内がコートにくるまってても寒かった(^^;)冬にくるときはひざかけも持参した方がいいな。。
そういえば、だいぶ前に「のぼうの城」も見たんだけど書いてなかったね。。。(これも結構おもしろかった)