奈良が好きで何度も行っているので、だんだんとマイナーなところになってしまう。観光客が少ないというのは良いことだが、たまに変な目で見られる。地元民じゃないってわかるんだろな。
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猿目橋から風の森にいたる別名「神話に彩られた道」。
現在では道標がないと、本当にどこを歩いているのか分からなくなってしまうようなところを通る 田舎道である。
御所(ごせ)駅を起点として葛城山を背景にひたすら歩く。たいして何があるというわけではないが、 なんとなく伸び伸びとする。もちろんほとんど鋪装などされていない。
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時には田んぼのあぜ道だったりする。畑のどまんなかをつっきることになったりもする。「本当にこんなところ通っちゃってもいいの?」という所を通ったりもして、それはそれでなかなか楽しい。
野生の草花を見て、すすきと戯れて、遠い昔に思いを馳せたりなんかして・・・そういえば、大陰陽師として有名な「役の行者」の修行場所は葛城山ではなかったっけ?
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はじめのチェックポイントは「九品寺」である。裏山に南北朝の戦いの犠牲となった兵達を供養するためにたてられた千体石仏が並んでいる。奈良時代に行基菩薩が創建し、後に空海が再興したという由緒ある古寺だ.
本尊の阿弥陀如来は重文に指定されている。残念ながら私は法事中のため立ち寄れなかったが、地域に密着しているようだ。
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そのまま進むと「一言主神社」に行き着く。ここはけっこう葛城の道のハイライトではないか。ここに一つの伝説がある。
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「古事記」によると、(昔はなし風に・・・)昔々、雄略天皇が葛城山に登ったことがありました。お揃いの衣装を着せたお供をたくさんつれていました。
しば らく歩いていくと向こう側から葛城山に登ってくる人が見えます。ところが、その服装というのがなんと、全く天皇の行列とおなじではありませんか。しかも、 服装だけではなく、お供を加えた人数までがまったく同じではありませんか。
もちろん天皇はこの国の最高の位にいるという自負がありますから、瓜二つの行列が、まったく恐れ入ることもなくずんずん近付いてくるのを見て平静でいられるはずもありません。
そこで、使いをだして「わたしはこの大和の国の天皇であり、他に並ぶべき者はないはずである。しかるに、同じ格好で堂々と行くあなたは何ものであるか」というようなことを伝えさせたところ、 なんとまぁ、相手の答えることが、一言一句同じ言葉であるというのです。
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そこで怒り狂った天皇はお供のものたちとそろって弓に矢をつがえたところ、またもや相手も同じように矢をつがえるではありませんか。
そこで今度は「その気ならば名を名のれ!そうしたらこちらも名乗りを上げて矢を射かけん!」と伝えさせたところ、「私が先に問われたので先に名乗ろう。私は凶事も一言、吉事も一言でそれ以外何も言わない神で葛城の一言主の大神だ。」と答えました。
そこで天皇は恐れかしこまり、身につけた刀からお供の弓矢や衣服なども捧げたと言うことです。
チャンチャン
私はてっきり鏡かドップラー現象かと思いました(^^;)。興味があれば古事記や日本書紀など現代語約も出ているので参考に。
ちなみにこの一言主は願いごとを一言だけ叶えてくれるということで霊験あらたかである。よくばるとダメですよ。
尚、葛城の一言主神社は、年末から2月までに行くとこの時期しか手に入らない限定品があります!!
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そのまますすむと舗装道路にぶつかる。久々にみるまともな道路だ。
そこを横切って少しまっすぐすすむと「名柄の中村家」につく。ここはかつて代官をつとめた中村家の館で重文。現在も住んでいる私邸のため内部見学は予約をした人のみで土間からとなる。近くにバス停があり、疲れたらお帰りはどうぞ。
実は時間の関係上私もここでギブアップ。
が、この先も見場所はたくさんある。行基作と伝わる本尊の十一面観音のある「高天寺」。天孫降臨の地と伝えられる「高天台」とかも霊気むんむん。
皇室の守護神としても敬われている高鴨神社は全国の賀茂社の本社(京都の下鴨・上賀茂神社も含めて)。本殿は重文。
また葛城をもっと知るために「歴史文化館」もある。葛城古道の終点にあるのが「峯山百体観音」。坂東、秩父など東国から西国札所などから百体もの石仏が参道沿いに大集合。
この一ケ所をお参りすれば、それだけの札所を廻ったと されたという。不精さんにもこれならオーケー?
ともあれ心の洗濯に是非足をのばしてみてくださいませ。