「このミステリーが凄い!」「北欧ミステリーの衝撃作」という触れ込みで、あのエベレスト3Dのスタッフが映像化したということで、ストーリーも映像も凄いんじゃないかという期待で見た。
わざとなのか暗く重苦しく荒い、かなり年代の古いフィルムのような映像が続く。
アイスランドの大自然は美しいというよりも寒々しく精気が失せ、乾いた感じがする。
雰囲気はロシア映画っぽいなと思ったのだが北欧だった。
何か重い病気の娘を亡くした夫婦?と子供の葬儀。
ダウンタウンのボロボロの家で殺された男。
事件を追う刑事と被害者の地元で起きた事件。
確執のありそうな放蕩娘との親子関係、、、
前半は人間関係と事件が入り乱れていて何の繋がりがあるのか、どう関わって来るのか流れを掴むだけでも大変。
とにかく殺人事件の背景を探るうちに30年前のレイプ事件が浮かび上がってくる。
すべてはそこから始まりピースがつながってゆく。
とはいえその暴力に対する怒りとか、直接的にそれで人生が壊されたとかいう話ではなく、何十年後に罪の代償がやって来るというような、因果応報的な重い話。
犯人探しのミステリーではなく、途中でぶっちゃけ先が見えてしまってはいる。
その代わりそこに到るまでの人間心理を事細かく描き出している、、、というほどでもない。
展開や映像的には特に派手さはなく、嘘ら寒く全体的に淡々と地味に徹している。
正直エベレスト3Dのように雄大で厳しい自然のように美しい映像を期待してると全然別物ではあるが、じんわりとくる暗い無機質な美しさはところどころある。
決して退屈とかつまらないものでは無いのだが、なんだかどよーんとしてしまう救いがたい雰囲気で、大ヒットする系ではないちょっとマニアックな映画だとは思う。