予備知識なしにみたけど、これ、かなりの衝撃作ですよ |゚Д゚)))
人間が生きていく中で必要とする感覚は色々あるが、中でも痛覚というのはかなり重要な役割を果たしている。
誰でも痛いことは嫌だが、それは肉体的な危機を示しているからだ。
もし痛みを感じなければ何が危険かも、何をしてはいけないのかも、他人に対しても加減というものを判別することができない。
実際に遊び気分で自分の肉体を傷つけたり、大火傷したりということが起こっていた。
痛みがわからなくとも不死身な訳では無いので死亡事故も起こってしまった。
そんな子供たちを危険視して、ある地域で痛覚障害の子供たちを国の外れの孤立した崖の上にある施設に無期限監禁することが決定した。
施設と言えば聞こえは良いが、刑務所以上の悪条件。
子供たちに自由は与えられず、何もない空の部屋に閉じ込められ、拘束衣を着せられて身動きも取れず、口輪や目隠しをハメられている子も。
誰もいない、遊ぶもの一つない寂しい空間でただ放置される日々はもはや生きてると言えるのだろうか?
痛みはないし涙も出ないが、感情がない訳では無い。
痛みが分からない以外は至って普通の愛することやいたわることも知っている人間のこどもなのだから
彼らを人間として扱おうとしない
施設の責任者でもある非情な科学者、平気で殴ったり手荒く扱うシスター。
反面子供たちを憐れみ、愛情を注ぐシスターや、ドイツから来て子供たちの社会復帰に力を注ぐ科学者などが登場して話に深みを与えていく。
やがて幼児たちが少年少女に育った頃に戦争が勃発し施設にもその大波はやってくる。
ぶっちゃけ、痛み知らずの子供たちが怖いもの知らずの兵士として駆り出されるのかとおもいきや、そんなありきたりの展開ではなかった。
いやはや、これはとにかくむっちゃ重くずっしりときます。
不知の病と、大人の都合と、戦争と、人間であることの証明のようなヘビーなテーマに真正面から取り組んでる正統派で、ハリウッド的なエンターテインメント性とは毛色が違う。
そこへ同時進行的に、生死をかけた事情で自分のルーツ探しを始めた男の話が重なってくる。
最初はどういう関連性があるのかつかみにくいが徐々に明らかになっていく事実がこれまたヘビーで展開もかなりショッキングなのだ。
そりゃぁ父母も過去を呼び起こされる自体が恐怖だったでしょうに。。。
評価はかなり分かれてるようだけど、私的にはかなり高評価の部類に入る。
面白いという言い方をしたら語弊がありそうなので。
後味は良いとこ無いし、ものすごい感動や恐怖というのでもないのだが、抑え目の感情の中にもずしーんとくる深さがあるのだよ。
自分の意思に関わらず時代に翻弄され、思考を奪われ、それでも生きていくしか無かったそれぞれの立場の悲哀というかが淡白な流れの中でジワジワくる。
歴史の中に過ちは見いだせるにしても一体誰が、何が悪かったと責められらるでしょう。
何だかうっかりすごいもの見つけちゃったなという思いが正直な感想です。
※閲覧注意:この映画には、爪を剥ぐ、皮膚を燃やす、動物の腹を割くなどのショッキングな映像も含まれます。