2013年にリメイク版として渡辺謙主演のものが公開されたが、こちらはその前のクリント・イーストウッド監督・主演のもの。
元々はフランシス・コッポラが権利を持ち脚本も参加していたが、クリント・イーストウッドが買い取り、主役の年齢になるまで映画化を待っていたという思い入れの強い映画のようだ。
内容はちゃきちゃきの西部劇。
町の酒場で客とトラブルになった娼婦が顔を切り付けられる事件が起こり、店主だけ補償してもらった保安官の裁定に憤った仲間の娼婦たちが協力し合い、事件を起こした荒くれカウボーイに賞金を懸けて殺しの依頼を広める。
ワンピースなどにも登場する「WANTED」というやつだな。
それに惹かれて各地からさまざまな人間が町に集まってくる。
今まで何人も手にかけてきたという「伝説的な」腕自慢という鳴物入りで登場する奴らばかりだが、果たしてどこまでが真実か。。。。?
過去の実績を吹聴し、虚勢を張る人間の見栄。
過去の栄光の夢にすがるもの。
対抗して武装集団で町を固めて逆らうものを叩きのめす保安官にも、似たものが見え隠れする。
なんというか、出てくる男どもがみんな「俺様は強い」と認められたがってるような。
そんな中であまり自己主張をせず、黙々とに「金のため」とドライに割り切ってるのが主人公であるが、それとて関係ない人間の命を奪う言い訳にもならない。
身近でない他人の命を奪うことは躊躇しなくても、自分の身近な人間が理不尽に命を奪われれば、その人生を思いやり嘆き、憎む。人間とはなんとも自分勝手な生き物ともいえる。
さて、「許されざるもの」は誰なのか?
保安官や娼婦も含め、こいつは正義のために身を挺したヒーローだ!と言えるような人はいない。
ある意味みんな人殺し。
ちょっと興味深いのは、登場人物が全体的に「かっこ悪い」面が強調されていたように思う。
人間それほどスマートに格好よく生きられないよという生身の弱さみたいなものも表現したかったのかな。