江戸川乱歩傑作選

ミステリー

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

江戸川乱歩の初期短編集です。名探偵、明智小五郎の初登場となる「D坂の殺人事件」、後世まで代表作に揚げられる「屋根裏の散歩者」、「人間椅子」などが収録されている。

やや荒削りで推理小説という形になっていないものもありますが、異常なまでの執着心や癒されない渇望など、人間の心に潜む暗部をよく描き出している。

この傑作集の中で、個人的に特に特に気になったのが。。

「鏡地獄」
鏡やレンズに取り憑かれた人間が、その世界をとことんまでつきつめていた結果、狂気の世界へ耽溺してしまう。怖いのだけど、異世界へ迷い込んだような不思議な美しさとエロスを感じる。

「芋虫」
題名からしてカフカの「変身」を彷彿とさせた。
戦争に係る悲劇、、、と言えばだいたい想像がつくと思うが、これは生半可なものではない。
”名誉”という空しいものにすがろうとする男、孤立して徐々に精神崩壊していく女。
倒錯したエロスと解放された密室。
おそらく批判も多い作品だと思うが、人間であるが故の悲しさと いびつな精神が見事に描き出された傑作であると思う。

江戸川乱歩と言えば、実は小学校の頃にはまりました。
近所の図書館で、大きな文字と簡単な漢字しかないハードカバーで児童向けコーナー付近にあったと思うんだけど、今思えばこれって全然子供向きじゃないよね(汗)。
「人間豹」とか「蜘蛛男」とか怖かったなぁ。夢にでてきたよ。。。

怪人二十面相の「明智君、気味の負けだね」は名台詞!(笑)

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