世界遺産知床。ここの魅力は陸上からだけではつかむことはできない。
何故なら車が入っていかれるのは、ほんの一部なんだよね。
だからこそ、野生動物たちの安心して暮らす本当の王国は、先端の方に集まっている。覗き見ることができるのは、海上からのみだ!
こういう小さなクルーザーでまわります。
と、いうことで、最初から乗る気満々だったのだが、観光船とひとくちに言っても、ここは実は3社が競合している。
いちいち全部問い合わせるのも大変だが、宿泊してたホテルですべてを扱っていて、予約もできるし、それぞれの出航、欠航の連絡もはいるようになっていた。
一応前日に予約をいれて、朝から状況待ちをするが、まさかの第一便、第二便と欠航で、判明した時点で次の予定に押し込んでもらう。
元々の予約の人と、こうして押し出す人が入り乱れるのだろう。
同じ会社でとれるとは限らず、次の押し込みは違う会社になったりする。
とにかく望みをつないで確保に走るのみ!
秋からのオホーツクは荒れやすい。
しかも台風が近づいていた影響もあってか、かなり荒れているらしい。
太平洋側にいると、「出航して当たり前」的な感覚があるけれど、奇跡的に出航はあるのか?と祈るような気分でした。
午後の便でようやく次の便の出発を決定したとの連絡が入り、喜び勇んで行くが、空はいつのまにかどんよりと重い黒雲で覆われて太陽は隠れ、非常に寒くなってきた。
予約が入った順番で席を決めるということだったが、押し込みで比較的前にはいれたようだ。
「船の前の看板の方が、波はかぶるし揺れもひどいですが、一番よく見れる特等席になりますが、どうします?」
どうもこうもない。特等席と聞けば、逃す手はないじゃないですか!
寒さだけが心配だったが、防寒用のレインコートも貸してくれるということだったので、そこに決める。
念願の出航にわくわくするが、外からみてた以上に海の荒れはひどかった。
船がぐわっと持ち上がったかと思うと、ジェットコースターのごとく傾きながら海面に叩き付けられる。
波はかぶるなんて表現じゃ甘すぎる。
斜め前からバケツで水を投げつけられるごとくで、頭からびっしょり、顔面めがけても容赦なくぶっかけられるので、目もあけてられないほどだ。
こりゃ欠航になってあたりまえの状況であった。
横揺れもひどく、しっかりと前面の縄とてすりを強く握りしめてないと放り出されそうないきおいで、カメラを構えるどころではない!
救命具をつけた上に、防寒用のもこもこコートとレインコートを借りて来ていたのは正解だったが、看板の上まで浸水してるので、座っていたおしりはパンツまで水が浸水。
靴と靴下はそのままざぶざぶ水中に突っ込んだような状況だ。
それでも合間を縫って。。。海上からみた「フレペの滝」。陸側からだと一部しか見えなかったが、こちらは正面から見ることができる。
こちらは乙女の涙に対して「男の涙」と呼ばれている滝。岩陰にひっそりとあり、「男は人前ではなく、隠れて泣くものだ」ということらしい。
そうこうしてる内にも海と空の色はどんどん暗くなり、いよいよ海も荒れ模様。どこまで行かれるかな〜〜?と不安になりつつも岬をめぐって言ったとき
「あ、ヒグマがいますね」
おおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜!それよ!それを待っていたのよっ!!
狭い石ころの浜辺にうごめく黒い物体が。
カメラを固定するのも困難な揺れだし、ひどい波で岸には近づけないのだけど、先日買い替えた10倍ズームがんばれ!
浜辺をさまようクマーーーー
ひたすらすすむクマーーー
なんか食べ物ないクマ?
波が荒いクマーー
もうちょい行ってみるクマ
たしかあっちに川があるクマよ
もう必殺技スーパー連写機能で(30枚/1秒)まともに写るものがあることを祈りつつ(笑)
本来は岬の先端まで行くコースだったが、状況が刻一刻と悪化していくので、この先のカムイワッカの滝で折り返すこととなった。
乗り込む前から「行けるとこまでいってみましょう!」ということだったので、これ以上は危険と判断されたのだろう。残念だけど、その判断は正しかったと思う。
「カムイワッカの滝」。この川は硫黄分の強い温泉が混ざっている。
もうすこし上流の山の中に、陸路から行かれる「カムイワッカ湯の滝」というところがあり、滝と滝壺自体が天然の露天風呂となっている秘湯中の秘湯がある。
地下足袋などで、川の中を岩をよじ上ってすすまないとたどりつけないという所であり、今回はそれも楽しみにしっかり水着も準備してきていたのであるが。。。なんと9月いっぱいで道は閉鎖されてしまったということで断念(ーー;)
硫黄成分のために、この滝の周辺だけ海の色もまったく異なるし、当然この川には魚などはいない。滝の下には昔硫黄採集した名残の柵も残っている。
カムイに別れを告げ、Uターン。どす黒い海に真っ黒な空。妖しい気配である。雲の切れ間から刺すゴッドレイが神秘的である。
帰りもさきほどのクマのいた付近をまわってもらい、クマが川の中で魚をとる「バチャバチャ」の様子が見れた。(失敗してたけどさ。。。)
しかし、速度をゆるめたら、天と地がかわりばんこに見えるほどのひどい荒れとなっていた(^^;)ダイナミックシーソーである。
こりゃ早く戻らにゃ〜〜と発進し、ちょっと安定したところで気を緩めた瞬間、本日最大の波が襲ってきた!
一応つかまってはいたけれど、体がふわりと浮き上がり完全に空中に飛び出した直後
「ゴスッ」
尾てい骨強打。
かなりの勢いがついていたし、そこにあったはずのクッションも消えて、看板に直撃してしまったのだ。
未だにくしゃみしても、歩いても、ふんばっても尾てい骨に響く、痛さを伴う思い出となりました。(笑)
クマ祭りの後は、最後に知床五湖のシカ祭りへと続きます。