プロスペローの本

Artistic
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小便小僧が延々と吹き出しながらぶら下がり、無修正裸体の男女が乱舞する。
ありゃこりゃなんの映画だ。また「ベイビー・オブ・マコン」みたいにえぐい奴か?
と、思うが、ざっくり言えば大人のファンタジー。

いかにも舞台の戯曲めいた雰囲気だが、実はシェイクスピアの戯曲『テンペスト』 が原作らしい。
ミラノ大公であったプロスペローが弟に裏切られて船で流された後、絶海の孤島に漂着。
プロスペローとその娘ミランダは24冊の魔法の本を研究している。

そう、プロスペローは妖精や魔物を使役する大魔導師なのであった!

しかしやはりこの独特な映像は、ピーター・グリーナウェイならではだよなあ。こんな映像作り出すのは彼ぐらいしか見たことない。
大勢の人を使った豪華絢爛きらびやかな中世、古代風の作品はあれど、まったく違う。

映画というより舞台や絵本を捲っている感じ。この24冊の魔法の本がめっちゃおもしろい!

深い深い夢の中。
終わりの見えないめくるめく世界。この上なくシュールな悪夢の連続。
艶めかしく気色悪い魔物のバレエ。
誇張された衣装とマスク。

裸体は多いんだけど、決して皆スタイルがよかったり筋肉美に惚れ惚れするような訳じゃなく、むしろだらしないメリハリのない肉体も多数で、それがより退廃的な雰囲気を生み出してる気がする。

多分苦手と感じる人も多いだろうが、やっぱり私はピーター・グリーナウェイの映像かなり好きだわ(笑)

この作品ではダブルイメージというか、いくつか映像の上に別の映像を重ねる、額縁や多重露出的な技法が多く使われている。

なかでも水のイメージが根強い。
序盤からの様々な魔法書が生き物のように蠢きざわめく様はえも言われぬ。

アート的にかなり凝った作品で素晴らしい映像美だと思うのだが、個人的には「ベイビー・オブ・マコン 」のえげつなさの方が好きかな。

ちなみに私が所持しているのは、こっち。

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