グレイテスト・ショーマン

ズバリ、期待を裏切らない素晴らしい映画だった。

この話の主人公、Phineas Taylor Barnum(P・T・バーナム)は実在した興行師です。
だけど伝記映画というわけではなく、調べてみると経歴もそのものではないようだ。
「バーナムのアメリカ博物館」「親指トム将軍」「ジェニー・リンドの歌公演」などは史実で、サーカスや身体的特色の見世物興行など大筋は沿っている。

ストーリー的には王道ど真ん中。
いわゆる最下層の暮らしからのし上がって大成功を収め、そこから転落して全てを失う。

だが、そこかしこに散りばめられたメッセージと、歌とダンスがとても素晴らしくて心揺さぶられる。

ヒュー・ジャックマンといえば「ウルヴァリン」な人だけど、「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役でミュージカルの才能を見せつけてくれましたね。

貧しく見下された惨めな子供時代。
でも湧きだすアイデアに恵まれ、いつか成功してのし上がってやるという野心も満々。
生きていくために就いた仕事でもなかなか認めてもらえず、それでも常に何かをアピールしようとしていた。

それでも少年時代から慕い続けていた令嬢との恋が成就し、二人の娘も生まれ、ささやかながらも幸せな日々を過ごしていたはずが、突然会社が倒産して解雇を告げられる。
だがその不遇が彼の人生の転機となる。

もともと奇抜な発想力に飛んでいた彼は、最初は苦渋を舐めるが今までになかったショーを作り上げていく。

すなわち、身体的な差異や人種などにより社会から目を背けられていた人々を集めて見世物にするのである!
それだけ聞くと昔の日本にもあった見世物小屋のようで、差別的偏見による人権侵害と言われそうだが。。。

当時の上流階級の人々にとって、娯楽とは芸術的なものであり、品のないものは受け入れられなかった。
人間の恥部をさらしものにした低俗な見世物ということで「すました」方々からは非難の声を浴びせられることにはなるのだが。

しかし今まで迫害され、縮こまって隠れるようにして生きていくしかなかった人たちが、スポットライトを浴びて堂々とありのままの自分をさらけだして受け入れられるということは大きな自信につながる体験ともなりうる。

後ろ指をさされるための好奇の目線の晒し者としてだけではなく、それをひとつの素晴らしいショーとして公演したことにより、魔法がかけられたように個性が輝きだす。
特に、庶民層は見たこともない世界に熱狂して、大成功を収めていくことになる。

奇抜な発想で次々と仲間を引き入れて、新しいものをともに生み出していく彼のバイタリティは素晴らしい。

そうして栄華の頂点を極めていくが、あまりにも成功することへの渇望が激しく満たされることを知らないバーナムの野望はとめどがなくなっていく。

すべての成功は、周囲の仲間たちとの共感や家族の支え、誇りや共通の夢などによって実現していたはずなのに、いつのまにか目的が手段とすり替わってしまい、思いやりや相手の気持ちなどに無頓着になっていった時に崩れ始めることを気付かずに。

悲しかったのはやはり、豪勢なパーティー会場で、サーカス仲間が成功を祝して嬉々として集まってきたのに、上流階級の人々の目に触れさせまいと追い返したこと。
唯一の理解者でなくてはならない彼が、まるで恥のようにあからさまな拒絶の態度をとってしまったら、今までの彼らのすべてを否定するようなもの。
他のどんな観客たちに笑いものにされるより深く傷ついたことだろう。

夢の為にすべてがあったはずなのに、いつしか金や名声に溺れはじめたとき、人は自分も見失う。
いろいろなことを考えさせられ、いろいろな立場に感情移入できる良い映画でした。
これはミュージカルであるがゆえ力強く響いたところもあると思う。

蛇足で、レディがドワーフにみえてしょうがなかったので目が離せませんでしたw

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