古事記 梅原猛

日本神話歴史(日本)

古事記 増補新版

この流れできたら、次は当然のごとく「古事記」です。
違う著者でいくつか所持してるけど、まずは梅原猛さん版を再読。平易な現代文に訳されているので読みやすいです。

天地創造の神話は、世界中のいろいろな国に存在しているけれど、日本ってちょっと変わってるなと思う。

だいたい最初に現れた神が天空や陸地に関することを分け、あるいはそれぞれの支配者を造っていくものだが、古事記では次々に現れた神がみんなすぐに「お姿をお隠しになり」それぞれが一体どんなことを行ったかさえよくわからない。

おそらく誰もが知っているのは「イザナギ」「イザナミ」の男女2神からではなかろうか。実はこのあいだに15神いるのだ。

ここで、きっとその名前に謎があるんじゃないかと考える。漢字か、読み方か、そこから意味を汲み取れるんじゃないか?と悩んでしまう。もうひとつのヒントは「生まれ方」だ。

なんとなく雰囲気でわかりそうなのもあれば、まったくわからないものもある(汗)しかしここでいつまでも足踏みをしていると、まったく話がすすまないので、とりあえず先に行くことにする。

この国生み神話を読んでいても疑問が残る。

なぜわざわざ柱を反対方向に回って出会うふりをしなくてはいけなかったのか?

なぜそれぞれがまるで初めて会ったように声をかけなくてはいけなかったのか?また順番が大事だったわけは?

それぞれ単体でもどんどん神は生み出せるのに、なぜ島々の創造には二人の行為が必要だったのか?

伊耶那美が黄泉の国へ行った時点での、死の国の支配者とはいったい誰だったのか?

以前はさらりと読み流していた事ごとが気になって引っかかる。こういうところに再読する意味があるんだな。

黄泉比良坂の話などは、各地に民話として伝わる「山姥」系の話に非常に似ている。

古事記が元になったのか、それとも古事記自体が古い伝承を集めたものでもあるので、神々と絡めて取り入れるためにああいう形になったのか。。。

天照大神、須佐之男命、月読命あたりからはだいぶ馴染みが深い話になってくる。天の岩戸、八俣の大蛇、などは、なんとなく聞いたことがある人も多いのではないか。

この3神は伊耶那岐が産み出した中でも傑作の代表的な神ということになっていて、昼間の太陽と、夜の月はなんとなくわかる。

須佐之男は後に黄泉の国へ行くが、元々は想定外のことだったし、行動パターンを見ていてもお世辞にも「出来の良い自慢の子」とは言えないと思う。。「スサノオ」という名前と「荒む(すさむ)」「凄まじい」などという言葉は関連性があるのだろうか?

また、黄泉の国へ向かった理由が「母のいる国へ行きたい」というものだが、そもそも須佐之男は伊耶那岐が鼻を洗った時に生まれたので、伊耶那美は直接関与していないと思えるのだが。。。

この須佐之男の子孫に大国主がいる。因幡の白兎(ここでは「素兎」と記している)の話といえばわかるかな。

で、この大国主は須佐之男から見るとひひひひ孫ぐらいに当たるのだが、なんと須佐之男の「娘」と結婚する。母系は違うようだが、この設定は現代的な感覚では理解できない。祖母の祖母の母と結婚みたいな。(汗)

まあ、神々は一瞬にして生まれることが多いので、年齢とかは関係ないのかもしれないが、わざわざ遠い設定にしたのは何か意味があったのだろうか。

「国譲り」の話に関しては、井沢氏の「逆説の日本史」などでも、実は武力制圧であったのではないかというのがあったが、古事記を読んでいると同じような表現は2回目なのだなと気づく。

それ以前に周辺を治めていたとされる大国主が地盤を固める際にも、「兄弟がたくさんいたのだけれど、みんな大国主に譲ったのだ」と表現されているが、内容をみれば「譲った」と言っていいのか?

字面をみると平和裏に行われたことのようだが、むしろたくさんの兄弟たちは、大国主を排除しようと計略を張り巡らせて2度も殺すことに成功している。

しかし、母神がそれを生き返らせて、最終的には須佐之男のパワーを借りて逆に兄弟たちを地の果てまで追い落としたということになっているのだ。譲る=力で奪い取るということだったのか。。。

2度目の死亡時には、母神が直接蘇らせているのだが「このままだと兄弟たちに殺されてしまうから。。。」と言うのも非常に矛盾を感じてしまう(既に死んでる)。

最終的に大国主を屈服させたのは建御雷神であるが、どうみても交渉の様子は武力行使の脅迫以外のなにものでもない。
また、それ以前に天照大御神が遣わした神たちは次々と大国主に寝返ってしまったというのもなかなか興味深い。

更に、崇神天皇の代の疫病も、垂仁天皇の皇子ホムチワケが話すことが出来なかったのも「大国主(大物主)」の「たたり」であると古事記にも表記されている。

祟るということはすなわち怨念を抱いて死んでいった怨霊であるわけで、祟る相手が天皇一族の子孫となれば。。。穏便に国譲りが行われたのならば何も後ろめたいこともないはずで、祟られるいわれもない。

冷静に読むと、かなり矛盾や強引な設定が見えて頭を捻ってしまうのだが、それも含めてなかなかおもしろい。

序盤だけですっかり長くなってしまったので、以降は同時進行で読んでいる田辺版に分けて続けます。

タイトルとURLをコピーしました