山形:宿坊と羽黒山五重塔

02 東北国内山形県

宿へ向かう途中で羽黒山の参道入口前を通ったのですが、まだちょこっと時間があったのでその正面にたつ「いでは文化記念館」に立ち寄りました。
出羽三山の歴史や文化、山岳信仰や修験道等に関することを学べる資料館なのですが、入ってすぐのところに「法螺貝試吹体験」のコーナーがありました!

ソファのところに法螺貝がいくつか置いてあるのですが、コツがいるようで普通に笛のように吹いても音が出ない。
首かしげてたら館の方がやってきて見本を見せてくれました。脇からじーっと見てて、どうやら唇の端っこのほうで、草笛を吹く要領で口を開かずに震わせるようだ。

真似してみたら、結構すぐに音がでた!!でもなんかドスの利いた低い音だなぁと思ってたら、「もっと口をしっかり結んで空気が漏れないように」

ぶぷぅいぃ〜〜よぉ〜〜 ぶほぉ〜〜〜 ぼおぉ〜〜〜〜

何か吹奏楽でもやってましたか?と聞かれた。私は音楽の成績は非常に悪かった人間です(笑
おぉ!ほら貝おもしろいっ!!!練習すればもっと澄んだ音や自在に音色が操れそうだ。すごく欲しくなった。。。

どこかで購入できるのか調べてみたが、結構高価なものなのね(^^;)朝、家人を起こすのに使おうかと思ったのだが、その前に近所から苦情もきそうだ(爆
一周まわって展示物をみて、また法螺貝コーナーに戻ってぷぉ〜ぷぉ〜してるうちに閉館になってしまったので宿に向かう。

宿坊「大進坊」さんです。入り口には冠木門と注連。

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この付近は宿坊街になっていて、周辺はずらりと宿坊が軒を連ねてます。こんなにたくさん並んでるとこはじめてみたよ。(※詳しくはこちらのサイト参照)

宿坊と言えば、以前伊豆の寺で泊まったこともあったけど、毛越寺はいつか泊まりたいと思ってるうちになくなっちゃったんだよね。。そう、宿坊と言えばまず思い浮かぶのが「寺」なんだけど?

修験道自体が古神道+仏教+道鏡+陰陽道などが混合した性質の日本独自のものらしいので、なんともややこしい。
このため、出羽三山も神仏習合であったが、明治維新の神仏分離によって神社となった模様。
つまりこの辺は神道形式の宿坊なわけです。

このG.W.は東北目指してきた人も多いようで、前日まではまったく宿がとれない状況でしたが、直前に滑り込んだわりにめっちゃ広いお部屋に通された。17畳くらいはありそう。

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二人では寒々しいくらいだが、暖房器具も2つもついていて、TVも無線LANも完備。洗面所も窓際の別間についていた。
お風呂も男女別で手足をゆったり広げて数人はいれる広さ。トイレは廊下で共有だけど、新型の洋式便座もあって綺麗だった。

お料理は山菜メインの精進料理。素材を活かしたシンプルな調理でこれがまたおいしかったのよ!
当館の自慢という「ごま豆腐」はとろっとろのもっちもちでやや甘みのあるタレがデザートみたい。

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修行道場みたいなとこだから酒気禁止かと思ったら「お飲み物はどうしますか?」ビールなどもあるようだが「日本酒はお神酒がサービスとなっております」と。

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ありがたや〜〜。お神酒〜。ということでいただきました。ハイ。

翌朝は希望者は朝食前の6:30より本堂にてご祈祷に参加できるとのこと。せっかく宿坊に来たんだから参加しなくっちゃね!

早起きして畳に正座して背筋を伸ばし、清々しい気持ちで神前に向かい、祝詞に耳を傾ける。
独特な節回しだけど、内容は出羽三山の縁起など文章になってるのでよく聞いてると知識にもなる。
お祓いもしてくれるし、宿泊者人家族ごとの祈祷までしてくれるのだからなんともありがたい。その後本堂脇で朝食となる。

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夕飯よりは簡素だけれど、朝摘みの新鮮な山菜なども供されるのでおいしくいただきました。

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ひと休みしたら、朝のうちに羽黒山に向かう。と言ってもここはほんとに参道からすぐなので近い。

出羽三山の由縁を簡略に説明すると、592年、蘇我馬子に崇峻天皇(泊瀬部皇子)が暗殺された時、第三皇子であった蜂子皇子が現在の鶴岡市由良の浜に逃れてきて、海岸から三本足の烏に導かれて羽黒山に登り、順番に出羽三山を開いたと言われている。

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人気も少なくて朝日が差し込んで清々しい〜〜〜。
浅くて長い参道を下って行くと、小さめの社が複数並んでいるので、ひとつひとつ丁寧にお参り。

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途中赤い欄干の神橋を渡ると、右手には須賀の滝が見える。この下を流れる川は「祓川」といって月山から流れてきているそうな。

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途中には紫の美しい花がたくさん咲いていたよ。

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橋を渡ってしばらく進むと、左手に杉の大木が見えてきた。天然記念物に指定されている「爺杉」だ。
樹齢1000年と言われるその姿は爺ちゃんと呼ぶにはあまりにも雄々しい。その右手奥には五重塔も見える。

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一度参道に戻って、もうすぐそこに見えている五重塔に向かう。三間五層、柿葺、素木造の塔だ。
華美さはないけれど、緑の中に色あせた古木が峻厳で渋い。思わず手を合わせたくなるような雰囲気を醸し出している。

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周囲の杉並木自体も特別天然記念物であるが、五重塔は国宝に指定されている。
平安時代、平将門による創建と伝えられるが、600年ほど前に大修復が行われたらしい。

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脇から。最新技術を集結した東京スカイツリーは、五重塔と同じような耐震構造を採用してるという。
科学など発達してなかったのに、古来からの知恵ってすごいね。

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真下から見上げると、5枚の屋根が同じ形でピッタリ重なっているのがわかる。
お気づきかもしれませんが、五重塔は仏塔の形式の一つ、、つまり神社でなく寺に属すものなんですね〜。
こういうところにも神仏習合の名残が伺えるわけだ。

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この五重塔の奥に、山頂へと向かう石段が続く。

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行ってみたい誘惑にかられるけど、今行ってはいけない。この出羽三山の巡り方に大きな意味があるのだ!
それぞれの山は、羽黒山(現在または現世)、月山(過去または死後)、湯殿山(未来または再生)を象徴しているということで、羽黒山→月山→湯殿山と順番にめぐることによって、生まれ変わりの体験となるらしい。

そう、地を踏みしめた参拝の旅だけではなく、時空を旅することになるとは、なんとも浪漫じゃないですかっ。

しかし、どのみちこの時期は、まだ冬季閉鎖である月山と湯殿山は登山できないのでまわることは出来ない。
湯殿山は6月、月山は7月にならないと山開きされないのだ。
しかも9月過ぎには月山がまず閉山され、11月末には湯殿山が閉山されてしまうため、全部まわれる時期は非常に短いのだ。

まあそれもあって羽黒山には三神合祭の神社があるんだけれど、なんかそれで巡った気になっちゃうのもなんだかなあ。どうせならちゃんと全部行きたい!と。

実は、よくわかっていなかった頃にも、羽黒山とひと足とびに湯殿山参拝してしまい、現世を引きずったままスポーンと再生しちゃった状態なので、今度は月山にて抜け殻をほうってこなくては。。(ーー;)なんだか二重婚詐欺みたいやん。

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とりあえず、ここまでで今回のG.W.はおしまい。
まだ早い時間でもったいない気はしていたけれど、この日帰宅した後に、雷雨やみぞれや巨大あられや竜巻が日本を襲うというとんでもない天候になったので、早く帰ってきたのは良いことだった気がする。

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