青荷温泉の居心地の良さに後ろ髪引かれつつ、いよいよ下北半島へ向かう。
津軽富士と呼ばれるお岩木山を眺めながら青森まで行ったら、あとはひたすら下道だ。
浅虫温泉を通り抜け(水族館寄りたいなあ。。。)という気持ちを抑えて時間がかかるので先へ急ぐ。
国道は細く、非常に鄙びたのどかなところなんだけど、六ヶ所村には核燃料サイクル基地、むつ小川原国家石油備蓄基地、東通村にもまたがって風力発電所、東通原子力発電所などエネルギー関連が固まっている。使用済み核燃料中間貯蔵施設もむつ市に建設中だとか。。。
巨大な風車たちを眺めながら、ぴょこんと張り出した尻屋崎へ向かう。
先端に向かう途中で昼食。せっかく海に囲まれた地にきたら海鮮丼がきっと食べたくなるだろう!
私は生もの苦手なのだが何かきっとあるだろうと「海峡食堂善」に入ってみた。
すでに昼時はすぎてるのに駐車場満杯の人気っぷりなので期待できる。(そもそもこの辺食事どころほとんどないがw)
ありがたいことに、このあたりの名産らしい「東通黒毛和牛」のメニューもあったので、おすすめっぽい「石焼定食」を奮発。
他にも普通にカレーやらそばやらトンカツやらもあったので心配なかったのだけど。相方の漁師丼も見事。
尻屋崎にはなんで行くかというと、ここには「寒立馬(かんだちめ)」という青森県の天然記念物に指定されている「馬」が生息しているのだ。
岬へ向かってぶーんと飛ばしていく途中で、道脇の草地に「ややや、馬の群れがおるぞ。これじゃぁないかあぁぁ〜〜〜!」
サラブレッドのように優雅ではありません。厳しい環境にも耐え忍ぶ、寸胴短足で顔がでかい頑丈な農耕馬なのです。
色やたてがみ模様などもさまざま。結構お子様をたくさん連れていました。
子馬も足がかなり太い。あまりお母さんと似てないねぇ〜〜。(余計なお世話)
海と草原が広がる大地をかけまわる力強い姿も見れました。
で、目的地の尻屋崎。
ん?ガイドブックや案内HPなどではこの灯台付近に馬がいっぱいいたはずだが、ここには馬っこ一匹見当たらない。。。
周囲は注意して歩かないと、至る所に馬糞の落とし物だらけなので、多分時間や日によってはここもたくさんいるのでしょう(^^;)
雨が降ったりやんだりの天気なので海の色も暗い。寒々敷く厳しい北の海といった感じですな。
寒立馬は一時期一桁にまで激減し、ようやく数十頭になったというからさっき見たのが唯一の群れなのかもしれない。。ってことで再びさっきのポイントに戻ってまた観察。
雨も本降りになってきたところで本日の宿がある「下風呂温泉」へ向かう。
今回のお宿は「下風呂マリンホテル」
実は下北半島にはあまり大きな宿はなく、家庭的な昔ながらの旅館や民宿がほとんど。
その中で、海沿いで「オーシャンビュー」の部屋があり、展望露天風呂があり、後述する「活イカ備蓄センター」のすぐ前という立地から選んだのだけれど。。。
角部屋で両面オーシャンビューと言われたが、側面の窓は隣の宿の壁に面しているため実質正面のみ。
お部屋はいたって質素で建物自体もかなり古く、青荷温泉の方が正直設備もよかった。
確かに部屋から海がみえるけど、目の前は漁港だった(笑)
ぶっちゃけわざわざ料金上乗せしてオーシャンビューの部屋とらなくても良かったと反省。
脱衣所のロッカーは、ほぼ鍵も扉も壊れていてボロボロ。
8Fにある唯一の風呂は確かに海を見下ろせるんだけど、湯船に肩まで沈み込むと深さがあって見えない(^^;)
壁やすのこは最近リニューアルしたようだが、天井や脱衣所側、浴槽の縁などかびやアオコのようなものがついていてあまり清潔感はない。
温泉は無色透明だが、浴室付近に温泉成分表の表示もなく、特に何回も入りにいきたいと思えるようなものではなかった。
けど、ここの楽しみはもうひとつある!それは、「イカ釣り体験」
んが、ちょっといろいろ行き違いがあって、集合時間大遅刻で装備も不十分、ぎすぎすした雰囲気になり、雨はザーザー降ってくるしでかなりテンションダウンで漁船にのることになった。
初めて乗ったイカ釣り船は、結構沖まで出ていった。
案内では親子で楽しく1時間くらい「体験」を楽しむ観光用だと思ったのだが、どっこい!
連れて行ってくれるのは、観光用ではない本物の漁師さん。無口で真剣に漁船のレーダーをにらみつつ場所を選定していく。
特に詳しい説明もなく、突然イカツリの針を次々投げ込みはじまったのだが、なんせ初体験だから何をどうしたらいいのかわからない。
とりあえず出た指示通りに動こうとはしているのだが、何か違うこともあるらしく噛み付くように怒鳴られまくりでかなり怖い(。iдi。))
釣りと言っても竿はなく、太い釣り糸に重しと何本ものでかい針がついた物を投げ込み、その糸をたぐり寄せて引き上げる。
繰り返すうち、手の皮はすり切れてびろーんとなるし、雨は叩き付けるし、「もう十分にとったね。。。」とつぶやいてもじゃんじゃんまた針投げ込まれて、辛くてもまたたぐり寄せを強制的繰り替えしで途中から漁師養成講座の強行特訓に参加してる気分に(泣)
とはいえ、ぶっきらぼうだけど本当は優しくていいおっちゃんなんだよなとだんだんわかってくる。
本来1.5時間で往復してくるはずが、結局3.5時間ほどになった(^^;)
それも最初いまいちかかりが悪かったから、できるだけ多く客に釣らせて喜ばせてあげようという思いやりだったんだと思う(もちろん追加料金もなし)。
遅くなればその分おっちゃんも家に帰って休む時間は短くなるんだし、漁船の燃料もかかるから得することはない。
勝手な判断も余計なこともせずじっと釣り糸握っていれば、巡回してひとつひとつかかっているか、軽く糸を持ち上げて手応えで教えてくれるし、引き上げ時も針が海面に出る寸前で止めてまっていれば、ちゃっちゃと針からイカをはずしてくれる。(引き上げちゃうと怒られるww)
だんだんやるべきことと、やったら悪いことが経験でわかってくる。言葉ではないニュアンスでそこはさぐろう(笑)
口は悪いけど、「せっかくだから写真も撮りたいよなぁ」という気持ちも察してくれて、引き上げる途中で「ほら、写真とるなら早く、ほら今撮れ」と目の前にぶらさげてくれたし。
多分女子だから最初はイカ触るのも嫌だろうと思ってくれてたみたいだが、いやいや喜んで握っては舟底の貯蓄層に放り込んでましたわな。
生きたイカの手触りや動きを肌で感じることも体験なのだ!吸盤が尖ってて巻き付かれるとかなり痛いのもわかったよ。。
結局全員ひとり10匹は釣れたのではないでしょうかっ。大漁だあぁぁぁ。辛いけど楽しい貴重な漁師体験をさせてもらいました。
とりあえず海水やイカスミで体中べたべたになるので、レインコート的な物は雨が降ってなくても必要だと思う。そしてこれからやってみようという人は軍手をおすすめします。
それと漁船なので滑らない足場をがっちり確保できるスニーカーや長靴で。
(こういう必要なものの説明も、一緒に乗った人は聞いてたらしいが、うちは事前になかったんだもの(><)
んで、本来つり上げたイカを宿の方で調理してくれるということで、(到着時に宿の方にも聞いたんだけど)、宿の夕食はなしにしてました。
つれない時もあるので、その場合も宿のすぐ裏側に飯やがあるから、そこで食べれるから心配ないとイカセンターの人にも言われてたんだけど。。。
宿に戻ったら「調理場の人はもう帰ったから、今晩はもう調理できない。明日の朝だな」と。
で、しょうがないのでイカを預けて裏の飯やにいってみたらすでに終わってた(ーー;)え?????
もしかしたらイカ漁の時間が大幅オーバーしたせいかもしれないが、夕飯ないやん。ひもじい〜〜〜〜!
あまり栄えてる温泉街でもないので、周囲にたべれそうなとこは他に見当たらず、一軒だけ明かりのついていた地元商店でカップラーメンを買って部屋に帰る(おにぎりや弁当も売ってなかった)なんだかなあ〜〜。
ちなみに海沿いの宿のオーシャンビューの部屋を選んだもうひとつの理由は「津軽海峡を行き交う漁り火がよく見えて情緒たっぷり」だったのだが、自分がその漁り火のもとで釣ってたんじゃあ考えてみりゃ見れないwww
実際部屋に戻った時間には漁は終了していてまったく漁り火もなかったです。
翌朝は気持ちのいい青空。海も空も青々として同じ景色でも清々しく見えます!
朝食はまあ普通に旅館の定番。イカ刺しやイカの塩辛がイカ天国のこの地域を表してますね。
んで、さらにきのう釣ってきたイカの刺身。。。もうしばらくイカはいいです。
数十匹のイカはこの夏空のもと、直帰ならいいけどまだ旅の途中で持ち歩けないし車の中がイカ臭さでいっぱいになりそうだ(^^;)
冷凍で送ってもらうのも、もうイカ三昧で食べたくないし、近所に配って歩ける知り合いもいない。
誰かに送りつければ良かったのかもしれないが(笑)生ものだからねえ。
てなわけで、従業員で分けるなり、客に出す食材にするなり自由にしてくれと宿に押し付けてきてしまった。。。(だからもともと2杯ぐらいで良かったんだけど)
人は素朴でアットホーム。
ただ、あまり観光客の扱いになれてないというか、応対もなんか適切でなかったり、チェックアウト時にもずっと裏で地元の人同士っぽい電話してて、何度声かけても知らんぷりで15分くらい待たされたりして、悪気はないのだろうけどあまりいい感じはしなかったので、ちょっと別だてで宿紹介するのは控えました。
まあ気を取り直して下北半島ぐるっとひとまわりに出発だ!