北方 謙三さんの「水滸伝」がおもしろかったので、 その続編となる「楊令伝」を楽しみにしていた。
保管や持ち歩きの関係上、文庫本になるのをずっと待っていたのだが、本屋でふとみて「でた~~~~!」と間違えて購入したのがこの「楊家将」である(笑)
この楊家将は、三国志と同じように、宋時代に実在した楊一族の物語である。
水滸伝に出てくる青面獣・楊志はこの伝説の英雄、楊一族の長である楊業の末裔という設定になっており、北方 謙三さんが話を膨らませてこの楊志の養子となった(w)楊令伝の「楊令」などは、まさに楊業の別名であったりするのだから、あながち無関係ではなかった。
中国ではかなり人気のある作品で、口伝えでまたどんどん話が膨らんだり変わったりしていった系統の物語だが、北方 謙三さんが書くのだから、やはり原典そのままではない(笑)
また「北方流楊家将」とでもいうべき、ちょっと内容の違いもある新しい物語となっているようだ。
とりあえず、上下2巻なので、さっくりと読める。
三国志や水滸伝に集まってくる英雄は、みな並はずれて強い。映画の「レッド・クリフ」などでは笑ってしまうほどに強い。
まぁ、これは各地から強い男たちが集まってくるのだが。。。。
楊家将では楊一族の「一家」だけで全員強い!!(爆)
国境線に位置し、外敵との戦闘に鍛えられているとはいっても、一族の息子揃って、それぞれが違う個性を持ちながらも全員おそるべき能力とはこれいかに?
日本の武将伝などは、だいたい親が突出していると、2代目がパッとしないことが多いのになぁ(--;)
7人の息子がいるが、それぞれの性格の違いや戦闘の方向性の違いなどがうまく書き分けられていて、それぞれが魅力的である。まったくうらやましい一家だ。。。
親父の楊業もバリバリの現役で、諸葛 亮・孔明の知と、関羽や張飛の勇猛さと、呂布のような戦いに関する勘のようなものを持っている、恐るべきスーパーマン。
しかも、対する遼の武将である、人呼んで白き狼「耶律休哥」がこれまたとても魅力あふれる素晴らしい将だ。
こちらを主人公にしても物語が生まれそうだ!
ちなみに当時の遼は、「蕭太后」と呼ばれる女傑が事実上統治していて、後の西太后に強い影響を与えたらしい。
だいたい敵国の女傑などというものは、悪女として描かれるものであるが、この北方流楊家将では憎めない奥深さを備えた女性として描かれている。
まぁ、これだけの役者がそろっておもしろくないわけがない!!
いつの時代も、上に立つ者の器量によって引きこ越される悲劇というものが悲しい。
ちなみに、この「楊家将」にはまた続編がでていたりする(笑)。「血涙 – 新楊家将」というものだが、これもまた購入してこよう。