逆説の日本史〈1〉古代黎明編

歴史(日本)

逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 (小学館文庫)

神功皇后がらみで続けて読んでみた。以前も読んだことあるはずだが、やはり関連性をもたせて読んだ本が頭に入るし、新たに気づくこともあるので。

私の知識では、それらが正しいかどうかを実証することはできないが、バラバラの断片だった一連の出来事がつながるのが非常に興味深い。

史実至上主義に大しては同感である。
個人の日記や書き留めた文章が出現するのは後世のことであるし、そもそも一般庶民が字を書いたり勉強できなかった時代も長いから、それを日本人の歴史の全てと決め付けるのもどうかなと。「史実に記してないこと=事実として存在しない」というのもおかしい。

一部のインテリによってまとめられた公的な記録というのは、元々「勝者の記録」であり、どうせ実権を握ったものが正当性を主張するためにいいようにまとめあげられたものだと思ってました。
全てがでっちあげとはいわないけれど、都合の悪いことに関してはわざと記録から除外したこともあるんじゃないかなと。
都合の悪いこと以外にも、確かに誰もが当たり前の常識と認識してることは、わざわざ書かなかったというのも理解できる。

卑弥呼および後継者と大和朝廷の関係も、時期が重なってるのにどうなってるのか謎だったが、天照大御神と太陽信仰と天変地異との関連性もおもしろかった。信仰が成立し、それを人々が自然に受け入れるようになるには、相応の理由があったはずだ。

神話は奇跡や魔術的な事柄がクローズアップされて、胡散臭さは確かに満載なのだが、そんな話が形作られるには、未知の出来事に素朴に驚くような事象があったり、切実な願いが込められていたり、当時の人々の心理的なものが反映されている部分もあるだろう。

あ!そうか。と目を開いた感じがしたのは、中国の文献から検証してるのに、なにゆえ漢字の中国読みと日本の言葉との発音の違いに今まで目をつけられなかったのかと。
同じ漢字を使っていてさえも、中国と日本では意味が違うものがままある。
まして、日本のしゃべり言葉を聞いて、それを自国の似た発音の漢字に当てはめたとしたら、それはどのような発音に聞こえていたかというのは原点ではないですか。
例えば逆に、中国の地名で「広州」を「こうしゅう」と呼ぶが、現地では「グァンジョゥ」に似た発音だ。日本で「広」を「グァン」などと読むことはないだろう。
知らないで発音だけ聞いたら「頑丈」とか「岩上」になってるかもしれない(笑)

神功皇后についても検証されていた。
今では「神話」として存在さえ怪しまれているものの、戦前は「歴史教育」として教えられていたということが驚きだ。
当時の三韓と言われていた地域は朝鮮半島なわけで、あちらの歴史にはそのような史実がないのに一方的に「これが事実だ!」などと言いはれば、対外的にとんでもなく大法螺吹きの国と見られてしまう。

とはいえ古事記にわざわざ記してあるには、なんかしら意味があったのだろう。ただの空想ファンタジーというわけではなさそうだ。
その理由も「言霊」にからめて井沢氏なりの推論を述べている。
そして神功皇后と邪馬台国がつながってくる。

なかなかおもしろいのだが、黒岩さんの「女龍王神功皇后」と大筋が結構似ていることがわかる。
様々な説を検討していく中で、最終的につきつめていったら同じ出典元の説を選択したのかもしれないね。

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