生きながら火に焼かれて

ノンフィクション

生きながら火に焼かれて

これほどの恐ろしいことが、この現代社会で起こっているとは!
この話は、奇跡的に死の運命から逃れてきた一人の女性(自分の住む狭い地域と違う世界があることを知ってしまった)による一種の告発文です。

男は「家長」という名の下に、怠惰をむさぼり、自由に暴力を振るう権利を与えられている。

母であれ、娘であれ、家庭内の女はすべて奴隷以下、、、いや家畜以下の扱いを甘んじてうけなければならない。

どころか、殺しても。。。。そう命を奪ったのが家庭内の男であり、奪われたのが女であるならば、その理由を問う必要さえない恐ろしい世界。
ある日どこかの娘が消えても、妻がいなくなっても、事件にさえならない。

そこでは女は生まれた瞬間から呪われた存在だ。生まれてきたことを祝福されることはない。

結婚して女の子ばかりが生まれたら、それはすべて妻のせいにされて追い出される。ある数を越えて生まれた女の子は「処分」される。
あくまでも欲しいのは「男」だけというわけだ。

年頃になれば父親の決めた相手のところへ嫁ぎ、家長が変わるだけで今度はその旦那の家庭の奴隷となる。
否、結婚自体が一種の売買行為とも言える。父親同士で娘に値をつけ、金額がおりあえば引き渡す。

当人の意志や気持ちなど、まったく関係ない。相手がどのような人物なのか、年齢はいくつなのか、結婚当日までわからないことも普通らしい。
元々「権利」などと呼べるものを持っていないのだ。

女の子は労働以外の外出は赦されない。一人で歩くことさえ赦されない。
買い物にでかけることも、友達とおしゃべりすることも、、、ましてや恋愛など。。。。

そう、恋愛はここでは罪。
愛を語るどころか、口をきいたり、目を合わせただけでもふしだらと罵られる。どちらが先になど関係なく、もちろん処罰されるのは女のほうになるわけで。

家族の「名誉」をけがされたと判断されれば、手を下すのは家庭内の男。つまり父か兄弟の手によって殺される運命になるのだ。

日本に生きる我々にとっては、そんな理不尽なことなどとてもじゃないが受け入れられるはずもない。

何かが狂っていると感じ、自立できる年齢になったらなんとか抜け出してその生活を捨て去ろうとするのではないか?

しかし、違う国、違う文化や生活環境を持っている相手に対して、うかつに口をだしていい問題でもないことは確かだろう。

その地域の女たちが、その運命を当然のものとして受け入れてしまってる現状であれば特に。。。。

長い間、それが当たり前だと思って生きて来た風習を変えるのは容易なことではなく、一種の革命とも言える。

ここまで男尊女卑が徹底してしまった裏には、もしかして元々女性の出生率の方が高く、男の子が少なかったということがあったりはしないだろうか?

だとしたら、圧倒的多数の女性が結束してたちあがれば。。
などと考えるのは、実際にその土地に根ざしていない外野のたわごとでもあるのだろう。

タブーと呼ばれるもの、名誉や誇りといったものは、非常に複雑で、おいそれと意識改革できるものではない。

「正義」とは、その環境や立場で大きく異なるものであり、「普通」とは、周囲の大多数の動向や考え方によって決まって来る不鮮明なもの。

違う文化を持つ者が、そういう社会も存在するということを「知る」。
そういう社会で暮らす者が。他の環境を「知る」。

その上で自分たちは、どうするべきか、何ができるか。。全てはそこからはじまるのではなかろうか。

タイトルとURLをコピーしました