今際の国のアリス

漫画

今際の国のアリス(1) (少年サンデーコミックス)

最近読んだ漫画の中でもかなり面白かった。
前から存在は目に付いていたものの、パロディのような名前と、わざわざ平仮名を多用する手法が好みじゃなかったのでスルーしてました。

内容的には、ある日突然奇妙な世界に飛ばされた人たちが、強制的に命をかけたゲームに参加させられるという、近年ではよくありがちな設定。

なのだが、奥が深い!
飛ばされた人はみんな過去に深い闇を抱えており、翻弄された時代を憎み、怒りや絶望や虚無に囚われ、あるいは世の中に否定的であったり、自分が何故存在しているのかという答えを探している。

あらゆる不条理や理不尽が描き出され、一見善人に見えた人がエゴをむき出しにぶつかってきたり、嫌なヤツだと思っていたのが自分の身を挺して他人を庇ったり、人間というものがどれだけ理解し難い生き物か見せつけてくれる。

この世界は徹底的に人を絶望に追い込み容赦しない。極限まで精神的にも追い込んでゆく。

だけど、その地獄の世界でも自分の心の持ち方ひとつで何かが変わり、今までの自分と向き合うことが出来ると教えてくれる。
弱さを強さに変えることも出来る。
闇に引きずり込んで、救いようのない世界にしているのは自分自身であるかもしれない。。。

頭脳的、心理的、身体能力的、協調性と4つに分けた特質をトランプになぞらえ、それに対応した内容の様々な「げえむ」を準備し、人間の本質をえぐり出していく様は、醜くて怖くてえげつなく虚しいところも多いが、その行動や判断はありがちで、多分自分と似た人も見つかるだろう。

この手の話はだんだん無駄に引き伸ばしてグダグダになりがちだが、良い感じの巻数でまとまって、ラストまでスムーズに繋がり、締めの読後感も悪くは無い。

敢えて似ているものをあげれば「自殺島」あたりだろうか。
毛色は違えど、ワンピースや進撃の巨人や東京グールなどが好きな人も、多分通じるものを感じるんじゃないかな。

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