遠野物語と言えば柳田 国男さんの著書の中でもっとも知名度が高いものではないでしょうか。
現代風に書き下していないので、とっつきにくさを感じるかもしれないが、その分趣がある文体になっている。
最後に訳注がついているのであわせながら読むとなかなかおもしろい。
本書は遠野在中の知人から聞いた話をほぼそのまま淡々と記している。
遠野周辺の不思議な話を集めた題名の「遠野物語」が半分近くで、集英社版では残りは言語学的、民俗学的な事柄について7編おさめられている。
(以前の素朴な表紙絵の方が好きだった。。)
「女の咲顔(えがお)」
では「わらう」という言葉の持つ漢字での違いと日本人独特の完成と表現について。
「雪国の春」
では地方による春の感じ方や定型暦とのずれについて。
「酒の飲みようの変遷」
では酒を飲むという意義や時代の変遷における飲むという行為の変わりようについて
他。現代では失われつつある微妙なニュアンスや表現方法など、言葉の表面上だけでは見えない事柄を再発見させられた。