ゴヤ1スペイン・光と影

ノンフィクション

ゴヤ  1 スペイン・光と影 (集英社文庫)

正直なところ、今までゴヤの絵画に興味を持ったことがありませんでした。
しかし、現代では巨匠の一人にあげられる芸術家が、どのような人生を送ったかにはちょっと興味を惹かれました。

美術館、特に特別展などの時には 経歴について説明書きはあれど、どうも羅列っぽい説明書きだとあたまり頭には入ってこない。
その点小説ならば、感情や苦悩や周囲との関わり等が生々しく描かれて、より深く入り込めるのではないかと思ったのですが。。。

この著作はちょっとそういう物語形式の小説とは違いましたね。
非常に淡々と、余計な空想や作者の思い入れなどが極力省かれた客観的な表現になってます。
論文といった方が近いかも。

その人物の性格や考え方というものには、往々にして生きて来た環境や風土が大きく影響するということからでしょうか、この書籍の大部分は、スペインという国、ゴヤのいた土地の歴史や風土などに大部分が割かれています。

あまりにも淡々としているので、途中でちょっとくじけそうにもなりました。なにしろそれが476ページというかなりのボリュームを持って続くので。。。

しかし、スペインと言えば私の大好きな画家である、サルバドール・ダリの出身地でもあります!
まあ、時代も地域も異なりますが。。。
スペインという国が、どのような国であるかを知るには、非常に詳しく良い内容だと思います。

時代的にもしょうがないのでしょうが、ゴヤはものすごくハングリー精神に溢れた人だったんですね。
こうした自己顕示欲と這い上がろうとする根性がなければ、何にしても大成できないのだろうとは思いますが、なりふりかまわぬその姿は客観的に見れば滑稽ですらある。
でも、そうしなければ画家として生き抜けなかった厳しい時代背景もあれば、現代の基準で考えることはできないのであろう。

ゴヤは生まれながらの天才というよりも努力の人だったようですね。
あまりに自己中心的な考え方や、感謝の代わりに罵倒をふりまくようなところにはちょっと辟易してしまいますが、それも含めていろいろな思いをバネにして勝利を手にすることができたのでしょう。

さて、この本はこれで終わりではなく同じ厚さで2巻、3巻と続いていきます。読み切れるかな?(^^;)

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