読み始めてすぐに、ああこれは以前漫喫でたまたま手に取った「幽霊塔(乃木坂太郎)」のモチーフだな。とピンときた。
いやいやそれ以前にも、なんか読んだことあるような。。。。題名にも記憶が。
読み進めてるうちに、文章の感じが江戸川乱歩にとても似ていることに気づく。
あ!そうだ!江戸川乱歩の作品にもあったんじゃないか!?。。。どころか設定ちょっと変えてまんまこの作品だったのか(^^;)
人間の証明のモチーフになった麦わら帽子の歌を書いた西條八十も、涙香版をモチーフに乱歩と違った「幽霊の塔」を発表してるとか。
調べてみると、アニメや映画等含め結構いろいろな作品に影響を与えてるらしいね。クトゥルフ神話かよ!という広がりをみせてるすごい作品だった。
いやいや、それ以前にこの作品自体が、アメリカの作家アリス・マリエル・ウィリアムソンが書いた「灰色の女」という作品がベースになってるとか。もはやカオスです(笑)
とにかく、それだけ影響を与えずにおけなかっただけのことはあり、漢字が昔の使い方で慣れるまで読みづらいところがあったものの、おもしろくてどんどん読んじゃいました。
いわくつきの古い屋敷。謎の美女。探偵。隠された財宝。それをとりまく個々それぞれの野望を抱いた人々。
まさにミステリーの王道でこう言うといかにも陳腐なんだけど、はまると不思議とそう古臭さは感じさせない。
ただ、涙香という意識を忘れると乱歩の作品を読んでる錯覚に陥る。それだけ乱歩が涙香の影響を受けているということかもしれない。
とにかく結構な長編なので、途中でややだらついてきたかなあというところで時計塔内部に潜入となるのでまた興味をそそる構成になっている。
なんとなく先は読めるところもあるけれど、なかなか面白かった。