医学や科学が進んでも、なかなか解明する事のできない領域がある。すなわち精神や心や記憶。。。
本書はなかなかこわい話です。実際に将来起こり得るのではないかという恐怖を感じてしまう。
現在でもバーチャル技術はどんどん進化していますが、ある完成形を迎えたとき、いったいどんな精神作用を及ぼすのでしょう。
この題名の「パラレルワールド」というのは古くから漫画や小説でもとりあげられていたテーマですが、この作品では精神的な面でのパラレル現象が巧みに描き出されている。
同じ場面のようでありながら、大きく違う過去の記憶。そのため最初は読んでいる方が混乱することもあるかもしれません。
あいまいな錯綜する「記憶」と目の前にある現実にゆらぎがみえはじめ。。
そして、ラブストーリーというか、人間の心にひそむ葛藤と苦悩もまた見逃せない。と、いうか、こっちの方が大きな主題かな?
傷つけたく無い大事な親友と、どうしてもあきらめきれない恋心。人間の友情やいたわりや同情やエゴイズムがぎっしりつまってます。
残酷でせつなくて物悲しい世界をのぞいてみてください。