坊っちゃん

国内小説

坊っちゃん (角川文庫)

昔、夏目漱石の作品に何度かチャレンジしたが、いつも最初の数ページで寝てしまい、まともに読めたことがなかった。
おそらく旧文体が読み辛かったせいもあったのだろう。
最近はそういう昔の作品も現代語版がたくさん出ていて、いい世の中になったもんだと。

確かに「坊っちゃん」と言えば夏目漱石の小説の中でも代表格ではあるが、なんで今頃ふと読み始めたんだろう??と読んでる途中で思った。
なぁんだ、ちょっと前に「道後温泉」に行って刷り込まれてきたらしい(笑)

で、読んでみたらこれが結構おもしろい!
バカがつくほど素直でまっすぐな気性の主人公が、突然東京から見知らぬ四国の学校の新米教師となって赴任してしまった話なのだが、そこに絡んで来る様々な人の思惑が生き生きと描かれている。

どこにでもありそうな、空威張り、追従、ことなかれ主義、本音と建前、利己主義な陰謀。。。
そうしたものをよしとせず、真っ向から反発をむき出す主人公は、あまりにも不器用で世渡り下手なのだが、見ていてスパッと気持ちいい。
心ではそう思っていても、実際にはなかなかこういう生き方はできないからであろう。犠牲にするものも小さくはないだろうから。。。

なんか「マドンナ」という言葉が先走りしていて、もっとこう清々しい美人をイメージしていたのだが。。。。
あんまり好きになれるタイプじゃぁなかったな。まぁ、そもそも出番少ないし印象薄いわけだけど(笑

「坊っちゃん」と呼んで慕うキヨばあさんと主人公の絆が、本当の家族以上に深いのには一種の感動さえ覚える。

時代を超えて良い作品だと思います。

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