図説 日本妖怪大全

妖怪

図説 日本妖怪大鑑 (講談社+α文庫)

全国各地の妖怪が紹介されている妖怪図鑑。
水木しげるさんのため、ゲゲゲの鬼太郎のようで挿絵もかわいらしさがある。

文庫本にしては高めの値段のようだが、ページ数496ページにわたり425の妖怪について述べられている、かなりのボリュームがある本だ。
あいうえお順にならんでいるため、目当ての妖怪も探し易い。

内容的にも、言い伝えがある地域、妖怪の特徴、類似妖怪、名前の由来と思われるもの、見たという人の話などが、場合によっては時代や出典元なども表記してあり、なかなか充実した解説書になっている。
現代版柳田国男といった感があり、それ以上に範囲や話の数が多い。

微妙に異なるけれど、全国的に幅広く類似した話が伝わっていたり、ピンポイントに特定の場所だけに存在していたり、呼び名に地域性が現れていたりとなかなか興味深い。知らなかった妖怪もたくさんあった。

こうした異形の者たちが生まれて来る背景には、その時代の生活様式や習慣、環境や自然に対する畏怖や思想等があり、民族学的にも見逃せない要素だと思う。

科学的に検証したり、心理学的な幻影や幻聴による見間違い、民間信仰からくるものなどバッサリ割り切ることもできるだろうが、やはりこの世界のひずみに不可思議な存在の妖怪がいると思ったほうが、想像力も広がりおもしろいではないか。
いずれにせよ、妖怪たちにも住みにくい世界になってきたものだと思う。

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