道尾秀介さんの著作は初めて読みました。
序盤は昔から現代も続く、子供の無邪気なほどあけっぴろげな残酷さが生み出した悲劇。そして家族の絆が崩壊しかけている家。
ここまでは、現代社会の抱える影の部分を描き出していくのかなと思えば、思わぬ出来事からミステリーのようになっていく。
子供から見たゆがんだ世界と、健気にも現実と折り合いをつけていくその姿はいとおしくさえある。
んが、突然話は予想も出来ない展開へと続き、あまりの突拍子のなさに「へ??」
なんじゃそりゃああああ???
ものすごく妙なんだけど、読み進めて行くとそれが自然に思えてくるのだから人間おかしなものだ。
しかし最後のどんでんがえしで、その違和感の意味はあきらかになるだろう。
ちっぽけで、悲しくて、やるせない人間という生き物。誰もが心の奥に秘めているかもしれない残虐性。
なかなか不思議な手法の怖くておもしろい作品です。