大人のための、美しくも残酷で純粋な気持ちになれる童話(?)。
題名もなんとも不思議な感じで惹かれたのだけれど、金子さんのカバー絵も大いにそそられて購入しました。
この人の、一種独特なあくどさもある画風もいいですねぇ。
「スノーグース」「七つの人形の恋物語」の2つの作品が納められていますが、内容的には甘いものではない。
むしろ、貧しくて薄暗くて絶望的な暗い背景が横たわっているのだけれど、登場人物が清々しいほどにピュアでひたむきで、気高くさえ感じられる。
矢川澄子さんの翻訳ですが、文章は古典的とさえ言える。
昔の名作童話を読んでるような雰囲気なんだけど、そこにはなかなか素直に自分をさらけだすことの出来ない、いびつに歪んだ愛情の形が浮き彫りにされてくる。
途中でぎゅっと胸が締め付けられるような、忘れかけていた何かを思い出させるような、なかなか深い話でした。