先に福士蒼汰さん主演の『モンタージュ 三億円事件奇譚』をAmazonプライム・ビデオで見て、結構おもしろそうだなと思ったので原作の方を読んでみた。
正確には、ドラマははしょりすぎて物語的に大事な部分が欠落しまくっているように感じたので、多分人物の背後の環境とか、心情の移行とか深くつっこんだら面白い作品になるはずだと思ったので(笑)
生まれる前の話ではあるが、昭和の謎多き未解決事件として「三億円事件」のことはなんとなく知っていた。
多分時効になった時点でニュースなどで大きく取り上げられたせいだろう。
当時は給与やボーナスなど現金手渡しが一般的であった為こういうことが起こったのだろうが、途方もなく大きな金額、しかも従業員のボーナスが奪われたというのは結構ショッキングな事件だった。
あまりに鮮やかな手口ですっかり「騙され」、直接的な傷害や恐喝が行われたのでもなく、目撃者に各種遺留品などの手がかりもあったにも関わらず、金も犯人も煙のごとく消え失せてみつからなかったというミステリー。
話題性が強いため、小説、映画、ドラマなど過去にもかなりの数の三億円事件が取り上げられてるものはたくさんあるようだ。
大金を積んだ輸送車が通る道筋と時間を把握していたとしか思えない犯行に、内部に通じているものの犯行という説は当時からあった。
さらに、事件後に行われた付近の学生運動家取締と思われるローラー作戦のタイミング。
奪われた紙幣の通し番号が公表された500円札。
この漫画はそこに焦点を絞った推理からのストーリー展開となっている。
軍艦島や沖縄がどこから出てきたのかはよくわからないが、登場人物の相関関係と共に独特の雰囲気を作り上げている。
逃走車がつかまらなかった理由も、日本国内でありながら治外法権というのを盾にそういう隠蔽もあるのかな~と。
ドラマチックなストーリー展開でもありながら、どこかあり得そうと思わせてしまうのがうまいところだ。
また、不幸な生い立ちのせいで、どこかねじ曲がってしまった関口兄弟なども恐ろしく悲しい。