「これ、おもしろいから」と家人に薦められて読んでみたが、最初の正直な気持ちは「なんだ、SFの世界では特に奇抜でもないありがちな設定じゃんね」でした。
一章々々が完結した話となっており、まあそれぞれの落としどころは東野さんらしいかなぁ~と。
2-3章目ぐらいまでそんな印象で何気なく読み流していたのですが、だんだんと張り巡らされた蜘蛛の巣が引き絞られていくような感じで緊張感が増してきました。
あれ。。?ああ、そういうことか?で?おぉ~~~!
登場人物はどんどん増えていくのに、話としてはどんどんまとまっていく。
それぞれの人生がひとつの輪の中につながっていく。
残り枚数が少なくなってくると、一体結末はどこへ向かおうとしているのか?
いや、、なんとなく行き着く先は見えてるのだけれど、どうやってまとめるのだろう?と気になってしょうがない。
途中から見えてくるところもあるんだけど、見えたからつまらなくなるというわけでもない。
東野さんの作品って、なんか最初に結末が見えてたり、犯人が割れてたり、なぁんだと気を緩ませといて、そこから実は深くなって、本編の意図はぜんぜん違うところにあるという錯覚的なパターンが多い気がする。
運命のいたずらというのか、人と人との結びつき。そこから生まれてくる感情の交差がなかなかおもしろい作品でした。