出羽紀行:羽黒山・出羽神社

02 東北国内山形県

1日目に羽黒山麓の宿坊街に滞在して、夕方行者の行列を見たあとは、風呂に入ってのんびりくつろいでました。
何気なく廊下をきょろきょろしながら歩いてたら一枚のチラシが目に留まった。
「国宝 羽黒山五重塔ライトアップ」

ん?今まさにやってるやん!!近いんだし夜の五重塔なんてなかなか見れない。これはいっとかナイト!
てなことで夕餉の後行ってみると社務所は閉まっていた代わりに随神門のとこで受付してた。
一応街灯もついてるのだが、雰囲気も含めて手渡された提灯を持っていく。

ん~~~、闇に浮かぶ暖かい光の社と雨でぬれた寒色系の階段が浮かび上がり対比がなんとも荘厳で美しい。
五重塔までは過去にも何回か歩いてる道のりだが、やはり雰囲気がだいぶ違うね。

ほぼ閉まってはいるが、寝静まる神々を起こさないよう静かにひとつひとつの社に頭を下げながら進む。

樹齢1000年といわれる爺杉越しに五重塔が見えてきた。

ぬおおおお~~~~~~!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

緑がかった照明が、一層幽玄の美を引き出してくれてます。
日中とは逆の深い陰影も印象的

もういろんな角度に回り込んでフォーカスフォーカスですよ。
夢中になりすぎて下がった時に側溝に足を突っ込み、片足首付近まで泥と水にズボッとつかまってしまった(--;)ドロドロだぜ。でも事前に足袋に撥水スプレーしといてまだ良かった。

こんな夜間参拝やってるとは全然知らないで来たけど、運よく良い時期にきたもんだ。
天高くそそり立つ杉の木立の間から臨む五重塔もイイネ!

そして3日目の湯殿山参拝の後にわざわざ戻ってやってきたのが羽黒山山頂にある「三神合祭殿」
唯一年を通して月山、羽黒山、湯殿山の出羽三山すべてにお参りできる総元締めみたいなところです。
今までは時間の関係で毎度五重塔までで引き返していたから、羽黒山の本宮的なところに行ってないやん!
と思ってたらあっさり車で行けちゃうことがわかった(--;)五重塔の先を登らなければ行かれないと思い込んでいました。

駐車場から向かい、まずは出羽三山神社御開祖である蜂子皇子(崇峻天皇の皇子)の墓に詣でる。
崇峻天皇と言えば権力闘争の中で蘇我氏に暗殺された悲劇の天皇ですよね。
その政変の為に皇子は聖徳太子の手引きで脱出し北へ逃げてきたと伝えられてます。
元天皇の子としては、大きくはない空間にやや小高く盛ってあるかな?程度のひっそりとした墓所でした。(でもちゃんと宮内庁管理)

三神合祭殿の重厚なかやぶき屋根の社殿は国重要文化財に指定されており、羽黒派古修験道独自のものらしい。

鐘楼も同じく重厚なかやぶき屋根の造りだが、中に建治元年(1275)に作られたという東大寺・金剛峰寺に次いで古い歴史の刻まれた大鐘が吊るされている(国重要文化財)。

境内には蜂子皇子を祀った蜂子神社、厳島神社、天宥社などのお堂もあり、霊祭殿の天井画も見所。
また多数の末社も並んでいるのでひとつひとつに丁寧に参拝していく。

奥の細道のルートでもあるので、松尾芭蕉像も建ってました。
当然月山や湯殿山にも立ち寄っているのでそれぞれで句を読んでいます。

  • 涼しさや ほの三か月の羽黒山(羽黒山)
  • 語られぬ 湯殿にぬらす袂かな(湯殿山)
  • 雲の峯 幾つ崩て月の山(月山)

五重塔は先だっての夜行ったばかりですが「羽黒山五重塔特別拝観」もあるし、三神合祭殿脇でやっていた「羽黒三所大権現の秘仏初公開」との共通券の方がお得そうだったので行ってみることに。

本当はそのまま参道を徒歩で下っていくのもありなんだけど、車あるしまた戻ってこなきゃならないのでまた宿坊街の方まで車で移動して随神門から。

最初の夜の写真とほぼ同じ位置から撮影したものだが、やはり雰囲気変わる。

夜は音だけで見えなかった須賀の滝と岩戸分神社、祓川神社。お社の前まで水があふれ出てそのまま川に流れ込んでました。
祓川の名の通り、昔はここで禊をして参拝に赴いたようです。

昼間の爺杉越しに見た五重塔。

今年は三神合祭殿再建200年および出羽三山が神社となって150年ということでの特別企画。
羽黒山五重塔の内部が公開されるのはなんと明治以降はじめてで約150年ぶりなんだとか!
な~~んも調べてたわけじゃないが、これまたすごい時に来ることになってご縁があるのだなと。

まずはおはらいを受けてから、正面右側から入塔。内部は撮影禁止である。
内部には平安時代の三跡 小野道風筆と伝えられる額(昔は塔の東西南北各面に掲げられていたらしい)、須弥壇など。
さらに貴重なのが、足場をかけて2層目から覗けるようにしてあったこと。
板をミルフィーユのようにきれいに重ねて並べられた杮葺の屋根を上から見られる機会なんて宮大工でもなければなかなかない。

そしてこの二層目から塔の内部を覗き込めるように扉が開いてたんですよ。(撮影禁止)
一般的にこうした高い塔建築にはあるはずの、一層目から床下に心柱が通ってないことを不思議に思ったのですが、後年損傷部分を切り取ってしまったので中途半端に二層目からぶらさがってるような。。
八角形の心柱を囲むように周囲にぐるりと補助柱が取り囲んでいて、それを藤のつるで巻いて支えてある。植物ってつえええええ~~~~!

この建築構造などの方が個人的に興味深かったせいか、さきほどじっくり見てきたはずの「羽黒三所大権現」の方の印象がふっとんでしまった(--;)
ダイナミックで素朴な力強い仏像に惹かれがちなので、きっときれいに整った美しい仏様であったのやもしれぬ。(大日如来、阿弥陀如来、観音菩薩、不動明王、弁財天)

夜間参拝時にいただいた記念てぬぐいと、お守り。御朱印帳袋に御朱印をいただいてきた。
御朱印は右の2つが頂上で、左の二つが随神門前にて。
天地金神社は随神門右手前にある素戔嗚尊を祀るお社で昔は大師堂であったらしい。

とりあえずこれで出羽三山の旅は終わり、宮城の遠刈田温泉で疲れを癒していく。

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