青森:恐山温泉 宿坊 吉祥閣

! 温泉02 東北国内青森県

猿苑からは、途中の道の駅に立ち寄りつついよいよ最後の恐山へ向かう。
恐山と言えば、イタコで有名で高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場の一つである。しかも、恐山の境内には温泉がわいていて、参拝客も自由に入浴できるのだ!

到着も夕方だし、見所も温泉もあるこの霊場を日帰りではもったいない。特に行事もなく空いてる時期だし宿坊もあるというのでチェックイン!

宿坊も境内にある為、まずは入り口で入山料を支払ってはいります。そのかわり翌日も境内は時間を問わず自由に散策できます。
山門手前の右奥にあると言われて行ってみてびっくりした。なんじゃこの立派な建物は!!格式ある和風旅館みたい。

今までも宿坊を利用したことはあるのだけれど、基本は寺の本堂と続いた離れとか寺の建物一部解放といった様子だったが、ここは敷地内に別に旅館が建てられちゃったような感じ。

ロビーにはいってさらにその感じは強くなった。宿坊というよりもはや豪華和風旅館といった様子。(^^;)恐山恐るべし。

部屋はロビーの端から長い廊下が続いて両脇に非常にたくさんの部屋が並んでいる。法事などがあればよほどたくさんの檀家さんが集合するのだろう。

部屋がこれまた広い。
18帖ほどの広い和室に4.5帖の小さめの和室が付随しており、部屋の入り口も4.5帖ぐらいあってカウンターがついている。
部屋にトイレ、洗面つきだが、洗面所は独立しており、洗面が2基に壁一面の大きな鏡。どれだけ金かかってるんだろう。。

一応宿坊なので、決まり事はいろいろある。
室内はすべて禁煙で、ロビーのみOK(これがまた広いのだが)
食事前までは浴衣になってはいけない。食事はきちんと平服でみんな揃ってとるので時間厳守。
食事中の飲酒禁止でもちろん販売もしていない。ただし部屋で各自飲むのはかまわないとのこと(^^;)
門限、消灯時間ありで玄関も鍵がかけられてしまうので、夜遅くの外出禁止。(付近に何もないので出る必要もないだろう。。)
早朝のおつとめには参加が義務。その後揃って朝食。
そういったこと以外は特に普通の旅館となんらかわらないので別に構える必要はない。

とりあえず一息入れたら宿坊内の内湯に行ってみた。
男女別の入り口の前にもやたら広い休憩所が〜〜〜(^^;)

脱衣所もぴっかぴかでドレッサーやドライヤーも完備。大型日帰り温泉施設並みの設備だよ。ナチュラル家具やインテリアにもこだわりが。

風呂場も広く、大人数がいっぺんに体を洗える。ボディソープ、リンスインシャンプー、シャワーも備え付け。

浴槽も広々〜〜〜〜〜。一面の窓からは恐山境内の自然がのぞめるのだが、なんか恐山に来てるという実感がまったくない。
さらに脇には露天風呂らしきものまであったが、客が少ないせいかお湯は張ってなかった。

お湯はもろ硫黄系ですな。海沿いの温泉は透明なとこが多いので、下北半島では少ない泉質。
ただかなり熱めなので、あまりゆっくりとは入ってられなかった。

食事はロビー脇の大ホールにて。間接照明でやわらかな光を演出していたり、椅子もシンプルながらおしゃれなフォルムでこだわりを感じます。

全員揃ったらお坊さんと共に「五観の偈」を唱え、謙虚な気持ちで食物を口に出来ることに感謝しつついただきます。

食事は精進料理ですが、全部朱の食器類がまぶしい。お椀ものは食べ終わったらまた蓋を戻すので、どれがどのお椀の蓋だかわかりやすいように並べて脇に置いておきましょう。
食後も全員で「食後の偈」を唱えるので、食べるスピードをできるだけ周囲にあわせて。あまり早く食べ終わるとゆっくり食べてるおばあちゃんなどをせかしてるようで申し訳ない(^^;)

この時使ったお箸はMy箸となり、自己管理。次の朝食の時にまた自分のお箸をもって集合します。最後はお持ち帰りの記念となります。

腹ごなししたら、境内に点在する温泉小屋へ。
宿坊の内湯以外に、「花染の湯」「古滝の湯」「冷抜の湯」「薬師の湯」と4カ所湯小屋があります。源泉も違うらしい。
ちょうど「古滝の湯」が修繕作業中で使えず、女性専用となっていた「冷抜の湯」へ。

上は昼間の写真ですが、実際に入りにいったのは夜真っ暗になってから。
「花染の湯」以外は山門をくぐって本尊地蔵堂の前。卒塔婆や石積みの荒野の近くなわけで、懐中電灯を借りて足下に注意しながら人影のない境内をすすむ。
普通に考えたら昼間まだ明るいうちにこっちに来るべきだったのだろうが、なんだろう。恐怖心とかまったくなかったんだよね。向かいの手水場すぐ脇にある「薬師の湯」は男子専用になっていた。

掘建て小屋なもので、古い窓枠や建物ががたがたと音をたて続け、窓も微妙に開いて闇が覗いている。薄暗い電灯の元でひとりぼっちというのは、贅沢ではあるがなんとなく心細い。
ちょうど上がった時に宿泊客らしいおばちゃんが一人来た。もう一カ所宿坊の裏の方にある湯を探しにいくつもりだったが、貸し出しの懐中電灯がもうなかったのでよかったら貸して欲しいと言われ、私の方が野生児だから大丈夫だろうと思い素直に譲った。

その後、境内図を参考に、とりあえず宿坊の建物を通り過ぎて回り込むように裏手へ続く道をたどっていくが、ほんと真っ暗でどこにあるのかわからない。
足下に道があるのを確かめつつひたすら進んでいったら、突然脇から明かりが!
どうやら軒にセンサー付き照明があったようで、近づいたら反応して湯小屋が判明。足下には長い溝があって板を渡してある形だったので、明かりがついてくれてよかった〜。
中の電気をつけてもこんな感じで周囲はまさに闇なのですわ。こりゃわかんないよなぁ〜。

中はほぼ同じ作りなんだけど、浴槽が2つではなく3つのしきりになっていたので少し広いようだ。
この「花染の湯」は混浴なので、この時間だからこそのびのび独り占めできたのかもしれない。
確かに宿坊内部の内湯はすごく広くてきれいだけど、こういう湯治場のような古い湯小屋の方が個人的には風情があって好きだ。

ちなみに扉を開けたらすぐこの光景で、風呂に入ってる人は丸見え。だから後から男性が入ってきても隠れる場所はない(笑)
風呂の脇の棚に脱いだ服を置いて入るのだが、見ての通り洗い場的なとこは特にないので、やはり宿泊者は中で洗ってから来た方が良いだろう。

昼間見たら、宿坊の内湯女性側の窓から見えた!中から行かれたら近いのだけどね。

翌日は朝から雨がざーざー降り。ちょっと散策するには向かない天気だ。
とりあえず早起きしてひとっぷろ浴びてさっぱりしてから朝のおつとめに参加することにする。
内湯廊下から見た宿泊棟。二階建ての純和風な造り。う〜〜んやはり贅沢だ。

朝6:30。まずは宿坊ともつながる長い回廊をたどって、各自地蔵殿に集合。
ぼーんぼーんと銅鑼(?)と共にお経がはじまります。正座して背筋をしゃんとして清々しい気分で手をあわせます。
この時に宿泊者各自のために一家個々に祈祷もしてくれます。事前に申し込みしておけば、水子や先祖供養、親族や故人などの特別祈祷もして下さるようです。

普段一般観光客が踏み込めない内部もまわれるのが宿坊滞在のいいところ。ご本尊の目の前まですすみご挨拶も出来るし、安置されている数多くの仏像をじっくり見ることができます。奥に円空の木彫りも2体いらっしゃいました!
円空作の仏像と言えば、ノミや小刀のあとも荒々しくゴツゴツ素朴なものが多いですが、こちらは丸みを帯びて優しいシルエットだった。

一周したら、次は本堂へ移動。
ここの寺名は「恐山菩提寺(本坊:曹洞宗円通寺)」そう、菩提を弔うお寺なのです。
宿坊の吉祥閣という名前も山号の「吉祥山」からきているようです。
「人は死ぬとお山へ行く」という日本古来の民間信仰がありますが、今でもそれを引き継ぐ代表的な「お山」がここ恐山なのでしょう。
壁際には未婚のまま世を去った息子のためにあの世での花嫁とする花嫁人形がずらりと並んでいたり、故人の写真や遺品、子供サイズの服や靴でいっぱい。東日本大震災での死者を弔うものも。
ここではこの世を去った人々の為に祈りを捧げて焼香もしました。

本堂を出る頃には雨も小降りになり、重い雲が地表近くまでたなびき、その雰囲気がまたここにふさわしい。

これで朝のおつとめは終了し、各自部屋から昨晩の箸をもってホールへ集合!朝ご飯ですよ〜〜。
再び「五観の偈」からはじまるが、2回目なのでみなさんだいぶ慣れた様子。

毎日こんな食事だったらかなりヘルシーだと思うのだけど、ちょっとずつ品数をたくさんというのはなかなかめんどくさくて出来ないものだよね。

やたら広くて奇麗で宿坊くささがないのは、どうも近年に新築されたもののようだ。昔はもっと貧相で安かったらしい。
そのかわり宿坊にしてはそれなりに高めにはなっている。でも宿坊でできる体験はプライスレス!
写経もできるようだが、さすがに最終行程で疲れに負けて気力がなかった。。

ちなみにイタコの口寄せというのは普段いつもやっているものではない。というより恐山のお寺に所属している訳でもないらしい。
7月20日から24日に行われる 「恐山大祭」 と10月上旬の連休に行われる 「恐山秋詣り」の時だけイタコさんたちがやってくるそうです。
もしどうしても会いたいという方はその時期を狙ってくるとよいでしょう(別料金)。

と、いうことで最終日は恐山の境内をめぐって下北半島の旅は終了するのでした。

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