東京:ゴーギャン展(国立近代美術館)

03 関東国内東京都

前売り券を買っていたんだけれど、まあまだ期間が長いから空いた頃に行こう。。。なぁんて思ってたら、9/23日終了までだいぶ迫って来てしまった「ゴーギャン展」(ーー;)
場所は竹橋の皇居近くにある「東京国立近代美術館」です。

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最後の方は連休に突入するから、平日のうちに行っておいたほうがよかろう!と。
だいたいこういうことは同じような考えの人もいっぱいいるもので。。。。
めっちゃ混んどりますがな~~~~~~!ガーン

ポール・ゴーギャンと言えば、ゴッホとの関連も非常に深い画家ですね。一緒に暮らしたあげく、「耳切り事件」で幕を閉じたというあれです。。。ゴッホの絵画にも耳を切り落とした後の絵がありますな。

なんとなく、ゴーギャン=タヒチというイメージがありますが、元々タヒチの人間ではありません。フランスはパリの生まれ。「楽園」を求めて彷徨い、タヒチに渡ったと言われてます。

モームの代表的な作品でもある「月と六ペンス」はゴーギャンをモデルに書かれた作品とか。
私もまだ読んでないので、今度読んでみよう。

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)/ウィリアム・サマセット モーム
¥800
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展示内容は、まずゴーギャン初期の作品群。
所蔵元を見ていて思ったのだが、日本にあるのはほとんどこの時代のもの。最初の方は、まだゴーギャンっぽさが十分出てない稚拙な印象さえ受けるものもある。言われなきゃわからないだろう。
やがてあの輪郭をはっきりと縁取るようなとこも見えてくるけど、塗り自体は結構単純で、平面的に見える。

でも、最後の方にあった「純潔の喪失」。これがなんだか気になった。

Paul Gauguin 136

Page URL:https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3APaul_Gauguin_136.jpg
File URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/81/Paul_Gauguin_136.jpg
Attribution:Paul Gauguin [Public domain], via Wikimedia Commons

無防備に、裸で人形のごとく横たわる乙女と、からみつく狐。高台から臨む海と真っ赤に染まった大地。道をやってくる人々のかたまり。色彩的には明るい方なのに、なんだか暗さを感じるイメージ。
青白い肌が死を思わせるからかな?その手には一輪のしおれたような赤い花が。なにやらとても暗示的な感じでしばらく見入ってしまいました。

その後、タヒチに渡ってからの作品で、「ああ、ゴーギャンだ!」という雰囲気になってくる。
褐色の肌に、生まれたままの上半身。腰も布でちょこっと隠す程度の現地婦人たち。

発達した西欧文明ではなく、自然に囲まれて暮らす原始的な人間の姿や神話に強く惹かれた様子がうかがえます。
とはいえ、現実のタヒチはすでに西欧文明も流入してて、彼の思い描いていた原始的な「楽園」のイメージとは違っていたようで、一度パリに戻ってます。

その時に「ノアノア」という自伝的なタヒチ紀行の執筆をすると共に、版画の連作を制作したものも展示されてました。
ボストン美術館と岐阜美術館の2つが数多く所蔵していて、それぞれ違う版であるところがまた興味深い。

ゴーギャン自身が刷ったという「自刷り」(岐阜美術館)は、細部がはっきりしないややぼんやりとした感じ。一瞬刷られたものではなく、刷った後の版木本体のほうかと思ってしまいました(^^;)

友人に刷ってもらったという「ルイ・ロワ版」(ボストン美術館)は、赤、黄等の色彩がアクセント的に強調されてるが、べったりとした感じで細部はつぶれてしまっている。

「ポーラ版」(岐阜美術館)は、ゴーギャン没後に息子によって後刷りされたものだけど、白黒で一番細部まではっきりとしている。

それぞれを見比べて、それぞれの弱点を補うようにイメージを膨らませてみるとおもしろい。

ノアノア (ちくま学芸文庫)/ポール ゴーギャン
¥998
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そして、パリで受け入れられなかった絶望を胸に、再びタヒチに渡り、ゴーギャンの最高傑作とされる
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」

Woher kommen wir Wer sind wir Wohin gehen wir
PageURL:https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AWoher_kommen_wir_Wer_sind_wir_Wohin_gehen_wir.jpg
File URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fc/Woher_kommen_wir_Wer_sind_wir_Wohin_gehen_wir.jpg
Attribution:Paul Gauguin [Public domain], via Wikimedia Commons

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この絵ね。

これが見たくて展示会に来ましたという人がほとんどではあるまいか。
実物はかなりでかいです。

このコーナーの手前で、大画面で解説ビデオが流れているので、それを見た後にまず行列に並んで近くからじっくり眺めながら端から端まで見ながら歩く。

次に少し引いた後方から立ち止まってじーっと見る。
会場脇に細部の解説されたパネルがあるので、それを読みに行って確認し、再び戻ってじーーーっと見る。

実は、個人的にはそれほどゴーギャンに興味はなかったのですが、こうやって見るといいですね。
なんというか内なる思いを筆に叩き付けたというか、ほとばしる思いのようなものが伝わって来て。

この後、マルキーズ諸島に移住していくつかの作品を残し、彼の地で生涯を終えるわけですが、やはりこの作品を超えられるものではなかったと思う。

まあ正直、小難しい解説とか、暗示の謎解きなどは本当はいいのです。やはり絵画って見た人が何を感じ取るか、好きか嫌いかそれだけのような気がします。

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