あやつり糸の世界

ArtisticSF

休日に買い貯めて山積みになってきたDVDを消化していこうかと。(主に気楽にスカッとみられそうも無いマニアック系が多いので、、、)

オシャレで軽やかなセレブたちの優雅な生活。
カッコイイレトロなスポーツカーも続々登場。
かなり画像が荒くノイズの載った映像は、メリハリを出すための演出家と思ったら最後までそういうものだった(汗

404 Not Found

未来社会予測の出来るコンピューター「シミュラクロン」を開発している未来研究所。
誤差が5.8生じるという現時点ではまだ未完成品らしい。
顧客(?)に説明後、フォルマー博士は頭痛を訴え突然倒れて死亡する。
その後を受け継いだのは多少の野心もあるらしいシュティラー。

フォルマーは死の直前にラウゼ保安官と話して何か奇妙な話を告げたらしく、それをシュティラーに話そうとした途端「消失」する。
さらに奇妙なことにそのパーティ会場でシュティラーの他に誰もラウゼを見たものが居ないという事だった。

これはまだ序曲で、この後次々と説明のつかない不思議な出来事が起こる。

記憶の相違か、思い込みか、、、

アキレスと亀の絵は何を暗示しているのか。

鏡、柱、水槽、壁越しの視点、長い廊下、極端な引きの映像などカメラワークが面白い。
やたら無機質で無表情な人々があちこちで見つめているようなアップになるのがめっちゃ不気味で気になる。

シュティラー以外全ての人からの記憶も記録も消えてしまったラウゼの秘密とは?

まるでアバターのような仮想世界と現実との接触。
かなりレトロなのにSFというなんとも不思議な感覚。
とにかくなんともいえない収まりの悪さと気持ちの悪さが終始付きまとう。

さらに鏡、鏡、鏡、ドア、ドア、ドア、無数に並ぶグラスなど繰り返しの技法が目につく。

なんせ1973年に西ドイツで制作された映画なので、スターウォーズや未知との遭遇よりも前、猿の惑星や2001年宇宙の旅のちょい後、惑星ソラリスや時計仕掛けのオレンジなどが近いか。
CGがまだ発達していない時代。
スピード感溢れた分かりやすい無駄のない展開よりも、ややこ難しく科学的、哲学的な要素を含んだアートよりな映画が多く作られた時代だね。

ラストは衝撃の!!、、、という訳ではなかったが(多分ある程度映画好きなら予想つく)、え?そこで終わるんだ。という驚きはあった。

。。。と思ったら、「2部」があるやんけーエッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?(すでに2時間近く)

2部ではフリッツの体を乗っ取り、仮想世界を抜け出してきたアインシュタイン(仮想世界の001号)から衝撃の言葉を聞かされたシュティラーが動き出す。

しかし、確信に迫るごとに、妄想癖の狂人扱いされていく。
だが、手探りで盲滅法いろんな人に詰め寄ってばら蒔いた不信の種は、徐々に一部の人間に影響を与え、、、

存在するということは何か
実態とイメージの違いは
唯物論と観念論的な命題もぶっ込んでくる。
情報の集積にアイデンティティはあるのか

ところどころ操られたように同じ動きをする集団が怖い。
顔色も悪く無闇に濃い化粧も不気味。
劇中劇もかなり変わっていてどう受け取るか考えてしまう。

2部も、というか更に鏡ごし使いの映像が増えてあわせ鏡まで。
部屋中鏡だらけで実際の位置関係を混乱させてきます。
全く同じ作りの風景が奥まで続く廊下や円の連なったハシゴ枠など幾何学的な繰り返しもわざと組み込んでるんだろな。
まるで鏡に映したようにシンメトリーな描写もあちこちに出てくる。

マトリックス、インセプションやテセウスの船、ランド(漫画)などの要素がギッチリ詰まった凄い映画なのだが、様々な要素がぐっと詰まっている上に、スピード感は無いのでそれなりに疲れて肩が凝る映画だな(–;)正確には当時映画館公開されなかったようですが。
105分+107分、3時間半超あるからね。。。。

でも時代を先駆けていたおもしろさは十分あります!しんどいけど好きな系統ですな。
実はSF作品はこのひとつしかないらしいですが、ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督の作品をもっといろいろみてみたくなりました。

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