ジェシカ

SFSuspense/Mystery

渋谷からライブハウスのクロコダイルに向かう途中にある小さな映画館「ヒューマントラストシネマ渋谷」で、メジャー、ハリウッド系では無いちょっと珍しい映画を上映してたので時間調整を兼ねて見てみることにした。

とは言え、次の予定があるので内容を選ぶと言うより、ちょうど良い時間に終わりそうなものがこれだった。「未体験ゾーンの映画たち 2020」ラインナップのひとつで「ジェシカ」。

近未来なのかな?一定の水準以上の市民と、いわゆる孤児で頼るものとてなく、生き延びるために盗んだり奪ったりしなければその日暮らしもできない社会不適合者たち。

選ばれた「市民」を守るため、オーファンと呼ばれる彼らを狩りたて、問答無用に抹殺するドローン兵器があった。
その孤独な人々をみつけ、家族として迎え入れ、兵器の殺戮から身を隠し、安定した暖かな暮らしを確立しようとする一人の女性がいた。彼女の名前がジェシカ。

静かな住宅街で、突然走ってきた一人の男が体当たりでガラス窓を破り、傷だらけで蹲るというなかなか衝撃的な始まりで期待したのだが、、、

いかにもアクション風の防弾チョッキと黒装束の戦闘集団はアメリカっぽいのだが、セリフで分かったがこれはフランス映画なのか?!
なんとなくぽくないかなと思ったが、あ、そうか、彼女はジャンヌダルクなんだ!と思えばなんとなく飲み込める。

テーマとその迫害に怯え自分のアイデンティティに疑問を持ち悩む人々というプロットは良い。

けれど、なんかストーリーだてというか構成が不味いのか、カメラの切り替えがまずいのか、非常にまとまりがなくて、「その場面いる?なにかの伏線?」と感じるが結局分からないもの多数、なのに突然どうしてその状況になってるのか肝心なとこで状況説明も足りない。

印象的なシーンもあるんだけど、なんというか流れに沿わないと思える過剰な演出と場面にピッタリとも言えない音楽が逆に気に触る。

全体的になんとも調和が感じられず、腰の落ち着かない、心地悪さをずっと感じ続けていた。
無駄も多いので何度か意識が遠のいてしまったことも。

例えちゃちいな、ありきたりだなと感じても、王道ものの映画の方がこうした不安定な気持ち悪さはない。
確かにフランス映画はわかりにくいといわれるけど、レオンやポンヌフのような、なんとなく雰囲気で察せられるだろ?という系統でもなくひたすら雑多としてる。

最後も「え?まじ?ここで終わりなの?」とびっくりしてしまった(笑)

キャラクター建てなどはなかなか魅力的なところもあるので非常に残念。
演技が下手なわけでもない、素人っぽい造りというのでもない、まったく伝わるのものがないというわけではない。ひたすら惜しい映画なのである。
特に主人公であろうジェシカの魅力も全然引き出せてない気がします(´д`)

久々にかなり微妙な映画を見てしまった。

もっと恵まれない環境で育ったゆえに社会不適合者となってしまった彼らの苦悩と葛藤、それらを理解して過度に関与はしないが包み込むように見守るジェシカの広い愛(母の象徴のようだ)、その小さなコミュニティの中での友情や諍いと最後に向かうどうにも自分を変えられなかった者たちの悲劇など心理面を深く掘り下げていければだいぶ違った印象になったと思うんだけどなあ。。。

仙台の桜井薬局の上にあったミニシアター(閉館しちゃったんだね)などは、マニアックながらなかなか良い作品を掛けていたし(タルコフスキーとの出会いもそこから)、渋谷の同じく今はなき「シネマライズ」でもピーター・グリーナウェイを知った。その感覚で新しい出会いを楽しみにしてたんだけにかなりガクっときてしまった。

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