ザ・ウォーク (3D)

Human Drama

ワールド・トレード・センターを綱渡りした男の実話映画『ザ・ウォーク』
3Dに効果的な映し方をしている所が各所に見られた。
特にポールが落ちてくるシーンはリアルでつい避けてしまった(笑)

宣伝ではビルの綱渡りがクローズアップされているが、そこに至るまでの
初めて目にした綱渡りに魅せられ、なりふり構わず夢中になり、若さの傲慢さが剥き出しになり、、と、いった経緯もなかなか面白い。
作戦の下準備段階での波乱や計画もわくわくするし、前夜の急激な不安と苛立ちもリアルで人間らしい。
時々字幕もなく、英語でもなく、フランス語やチェコ語などのせりふが何を言っているのか気になった。

結構天才的に習得して、一気にワールド・トレード・センタービルへ行った感があるけれど、実際にはもっと多くの失敗や挫折も経験してきたのではなかろうか。ちょっとその辺はしょられてるんじゃないかな?という気はした。

成し遂げたことはもちろん大きいだろうけど、それ以上のものをこの経験を通して得られたのではないかと思う。
一人ではまず叶えられ無かった夢。
正気とは思えない無謀なチャレンジに、信頼関係でもって支えてくれた仲間たち。
厳しくとも誰よりもその才能を愛し、惜しみなくもてる知識を注ぎ込んでくれた師匠。

彼のやったことは確かに前代未聞の快挙であり、この先も語り伝えられるかもしれない。
あの場にいたら自分も惜しみない拍手を贈っていたかもしれない。

。。。。が、犯罪行為であることは否めない。

不法侵入や偽造や騙しの手口などよりも重大な問題を秘めていたということを真剣に受け止めなければならない。
万が一あのポールを落としたら、運の悪い誰かが串刺しになっていたかもしれない。
あの高さからの落下にかかる重力を考えたら、ナット1つで人が死んだり障害者になるかもしれない。
ロープが千切れたら、その張力の反動により窓を突き破り、するどい鞭が何人もの人を巻き込んだかもしれない。
それより身近にも協力してくれたジェフなんぞは、へたすれば実行前に命を失ってたかも、、という場面も2回もあった(--;)でも、開始時のうれしそうに応援する姿がとってもキュートでした。
自分が落ちて死ぬかもという以前に「他人」を巻き込む危険性をどれだけ真剣に検討したであろうか?

とはいえ、映画としておもしろかったことは認めざるを得ない。
情熱とプライドとアーティストとしての美意識はすばらしい。工夫されたカメラアングルや風景も美しい。
ストーリーもおもしろい。

ただ、こういうことをヒーロー扱いするには危惧するところもある。
近年、ネット配信が進む中で、わざと違法行為をしたり危険行為をしては晒して反響を楽しむような輩も増えてきているので、安易に「何か人をあっといわせることをするぜ」な人が出てこないことを祈る。

ザ・ウォーク(初回生産限定) [DVD]

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