カオスの娘

国内小説

カオスの娘 (集英社文庫)

アイヌのシャーマンをモチーフにした小説。
その意思を受け継ぐものとして、祖母の血を引いたナルコレプシーの少年が選ばれた。
島田さんって夢遊病的な題材を取り上げる作品が複数あるよね。。

小説の中では「眠り病」が強調されて、別の世界へ瞬時に旅立つようなファンタジー的な要素として扱われているようですが、ちょっと調べてみると実は以外と日本人には多い(本人自覚なしも含め)病気のようですね。

。。。てか、ウッ。

もしや10代の頃の自分これだった?(ーー;)脱力発作以外ほぼ網羅してた自覚が。
おまけにわざわざ夢日記をマメに記したりして、起床してもしばらく覚えていられるように自然と訓練してた時期もあったな。意識すると以外と止めておかれるもんです。

とりあえず現実と夢との境界線を彷徨い、夢をつなぎとめる修行をし、過酷な環境に追い込まれることによって、シャーマンというか未来や遠い場所の出来事を認識する能力を身につけた少年。

並行して、一般的な家庭の日常を突如見知らぬ他人に不条理に奪われ、監禁、暴行、詐欺の世界へ投げ込まれて自分自身を見失ってしまった少女の過酷な日々が綴られる。

記憶の障害と催眠も、目の前の現実を離れる夢の世界とつながるところがあるのかもしれない。

大自然の中で精霊の声を聴き、現代の喧騒から隔絶された世界を生きる少年と、社会の闇の世界に蹂躙されて退廃と破滅のそこへ落ちていく全く交わるはずのない二人の若者が、運命の糸に導かれてかかわりを持つことになる、、、

だけなら不思議な青春ファンタジーのようだが、余命わずかなイカレタおっさんも絡んでくることで毛色が変わり現実的な行動へと駆り立てられていく。

まあ登場人物すべてがぶっとんでるわけだけど(^^;)

島田さんの近年の作品は、社会悪を掘り起こして問題提起するような作品が増えてるね。

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